拠点が多い会社で社内問い合わせの窓口を作るときは、先に3つを決めます。1つ目は、社員が問い合わせる入口を1つにすることです。2つ目は、拠点によって答えが変わる質問を洗い出し、拠点ごとに答えを持つ人を決めることです。3つ目は、答えが書いてある資料の置き場所を1つにすることです。本社の担当者がすべての答えを覚えて返す形にすると、担当者が休んだ日に窓口が止まります。
拠点が多いと、問い合わせが本社の担当者に集まる
営業所や工場、店舗が多い会社では、拠点に総務や人事の担当者を置いていないことがよくあります。いても、事務の担当者が本来の仕事と兼務しています。社員は誰に聞けばいいかわからないので、名前を知っている本社の担当者に電話やチャットで聞きます。
その結果、本社の担当者1人が見る社員が数百人になることも珍しくありません。しかも中身を見ると、規程やマニュアルに答えが書いてあるのに、社員がそこまでたどり着けない問い合わせが多くを占めます。「引っ越したら何を出せばいいですか」「社員証をなくしました」といった質問です。
入口もばらばらになりがちです。拠点の社員は電話、本社の社員は席まで来る、若手はチャット、拠点長は担当者の携帯に直接かける。これでは誰がいつ何を聞いたかが残らず、同じ質問に何度も答えることになります。
決めること1 問い合わせの入口を1つにする
最初に、社員が問い合わせる場所を1つに決めます。多くの会社では、社員が毎日開いているチャットに問い合わせ用の場所を作るのが現実的です。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chat などを使っていれば、その中に窓口を作ります。
電話をなくす必要はありません。電話は急ぎの用件だけに絞り、それ以外はチャットに書いてもらいます。
| 今の入口 | これからの扱い |
|---|---|
| 担当者個人への電話 | 急ぎの用件(パソコンの紛失、ケガなど)だけ窓口の電話番号で受ける |
| 担当者個人へのチャット | 窓口のチャットに書き直してもらうか、担当者が窓口に転記してから答える |
| メール | 書類を添付する必要があるときだけ使う |
| 拠点長経由の伝言 | 拠点長にも窓口のチャットに書いてもらう |
| 席まで来て聞く | その場で答えたあと、担当者が窓口に1行だけ記録する |
担当者個人に届いた問い合わせには、答えたうえで次のように返すと、入口が少しずつ揃います。
お問い合わせありがとうございます。回答は下のとおりです。 次からは【問い合わせ窓口のチャット名】に書いていただけると、私が休みの日でも別の担当者が対応できます。
決めること2 拠点で答えが変わる質問を洗い出す
拠点が多い会社の窓口がつまずくのは、同じ質問でも拠点によって答えが違う場合です。郵便の集荷時刻、社用車の予約方法、健康診断の会場、入館証の再発行を受け付ける場所などは、拠点ごとに違います。
本社の担当者がこれを全部覚えるのは無理があります。まず、よく来る質問を「全社で答えが同じもの」と「拠点ごとに違うもの」に分けます。
| よく来る質問 | 全社で同じか | 答えを持っている人 |
|---|---|---|
| 住所変更の手続き | 同じ | 本社の人事担当者 |
| 経費精算の締め日 | 同じ | 本社の経理担当者 |
| 郵便や宅配便の出し方 | 拠点ごとに違う | 各拠点の事務担当者 |
| 社用車の予約 | 拠点ごとに違う | 各拠点の車両管理の担当者 |
| 健康診断の会場と日程 | 拠点ごとに違う | 本社の総務担当者が拠点別の一覧を持つ |
| 入館証の再発行 | 拠点ごとに違う | 各拠点の事務担当者 |
表の右端の列が埋まらない質問は、答えを持っている人がいないということです。窓口を作る前に、拠点長と相談して誰が持つかを決めます。
- はいその拠点に答えを持っている人がいるか
- はい各拠点の答えを持つ人が答える
- いいえ拠点長と相談して、誰が持つかを決める
- はい
- いいえ本社の担当者が答える
拠点ごとに答えを持つ人は、1拠点に1人いれば足ります。その人に窓口のチャットへ入ってもらい、自分の拠点の質問が来たら答えてもらいます。関連する質問の答え方は、郵便や宅配便の送り方を聞かれたらと社用車を使いたいと言われたらにまとめています。
決めること3 答えの置き場所を1つにする
規程やマニュアルがあるのに社員がたどり着けない理由は、置き場所が分かれていることと、社員の言葉で探せないことです。社内ポータル、共有フォルダ、拠点の掲示板にそれぞれ別の版が置いてある会社もあります。
置き場所を1つに決めたら、目次を社員の言葉で作ります。「住所変更届」という名前の書類を、社員は「引っ越し」で探します。規程の名前ではなく、社員が口にする言い方を見出しにします。
| 規程やマニュアルでの名前 | 目次に書く言い方 |
|---|---|
| 住所変更届 | 引っ越したとき |
| 通勤手当変更申請 | 通勤の経路や定期券が変わったとき |
| IDカード再発行申請 | 社員証や入館証をなくしたとき |
| 定期健康診断実施要領 | 健康診断の日程と受け方 |
拠点ごとに違う答えは、同じページの中に拠点別の表として並べます。拠点ごとに別のページを作ると、改訂したときに直し漏れが出ます。
窓口で答えるときは、毎回その置き場所のリンクを付けます。答えだけを返すと、社員は次も窓口に聞きます。リンクを付けておくと、何度か受け取るうちに社員が自分で開くようになります。質問ごとの答え方は引っ越したときの手続きを聞かれたらや社員証や入館証をなくしたと言われたらも参考にしてください。
担当者が少なくても回る当番と引き継ぎ
本社の窓口担当者が1人か2人なら、当番と受付時間を決めて社員に知らせます。受付時間は「平日9時から17時」のように書き、返信の目安も添えます。「当日中に一次回答します」なのか「翌営業日までに返します」なのかは、担当者の人数に合わせて自社で決めます。
担当者が休む日は、代わりに誰が見るかを前の日までに決めておきます。窓口のチャットに当番表を置いておくと、拠点の担当者も誰に聞けばいいかわかります。
拠点ごとに違う質問を拠点の担当者に回すときは、窓口の担当者が最後まで見届けます。回したまま返事がないと、社員から見ると窓口に聞いたのに答えが来なかったことになります。回すときの文例です。
【拠点名】の【担当者名】さん、窓口に次の問い合わせが来ています。【拠点名】での手順を教えてください。 質問「【社員の質問をそのまま貼る】」 【日付】の15時までに返事がなければ、こちらから電話します。
回答が来たら、社員に返すと同時に、答えの置き場所に書き足します。同じ質問が他の社員から来たときに、拠点の担当者を待たずに答えられます。
- 1窓口の担当者社員の質問をそのまま貼って拠点の担当者に回す
- 2拠点の担当者【拠点名】での手順を返す返事がなければ窓口の担当者が電話する【日付】の15時まで
- 3窓口の担当者社員に答えを返す
- 4窓口の担当者答えの置き場所に書き足す
拠点の答えを持つ人が異動や退職で替わるときは、後任の名前を窓口の当番表に書き換えるだけで済むようにしておきます。そのためにも、拠点の手順は本人の頭の中やメモではなく、答えの置き場所に書いてもらいます。異動の時期の前に、拠点ごとの答えを持つ人の一覧を拠点長と見直す日を決めておくと、書き換え漏れを防げます。
1つの拠点から2週間試す
全拠点で一度に始めると、案内が行き届かないまま混乱します。本社から近い拠点か、問い合わせの多い拠点を1つ選んで、2週間試します。
- 1窓口のチャットを作り、試す拠点の担当者を入れるよく来る質問の表を作る始める1週間前
- 2拠点長に案内文を送る朝礼などで社員に伝えてもらう始める前日
- 3窓口に来た問い合わせを全部記録する答えを持つ人が決まっていない質問を洗い出す1週目
- 4洗い出した質問の答えを置き場所に書き足す担当者個人に来た問い合わせの件数も数える2週目
- 5困ったことを直してから次の拠点に広げる終わった翌週
拠点長に送る案内文の例です。
【日付】から、総務・人事・経理・情シスへの問い合わせを【問い合わせ窓口のチャット名】で受け付けます。 手続きの方法、書類の場所、パソコンのトラブルなど、何でもここに書いてください。受付は【平日9時から17時】です。 パソコンやスマホをなくしたときなど急ぎの用件は、【窓口の電話番号】に電話してください。 朝礼などで拠点の皆さんに伝えていただけると助かります。
2週間試すと、どの質問が拠点ごとに違うのか、どの資料が見つけにくいのかが具体的にわかります。それを直してから次の拠点に広げると、拠点を増やすたびに同じ混乱を繰り返さずに済みます。
社内の問い合わせをAIに一次対応させる方法もあります。株式会社AutomagicaのカリスマAIは、社員の問い合わせにAIが回答し、答えられないときは担当者につなぎます。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chatに対応しており、フリープランは月額0円で月50回まで使えます。
