経理

出張の旅費や日当を聞かれたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 来週の大阪出張、日当っていくら出ますか?
  • 日当って税金はかからないんですか?
  • ホテル代が上限を超えたら自腹ですか?

ひと言でいうと

日当や宿泊費の金額は社内の旅費規程で決まっているので、その社員の役職と行き先に当てはまる金額を伝えます。規程に沿った通常必要な範囲の旅費や日当には、所得税はかかりません。

社員が知りたいのは、日当や宿泊費の金額と、どこまで会社が出してくれるかです。日当に給与と同じように税金がかかるのかを気にする社員もいます。

国内出張と海外出張の消費税の扱いの違い
国内出張海外出張
所得税(通常必要な旅費)非課税非課税
消費税の仕入税額控除帳簿のみの保存で控除できる原則、課税仕入れにならない
旅費規程の金額表国内用の表を使う別表を使うことがある

出典:国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A 問107 出張旅費、宿泊費、日当等」

答えるときに押さえること

1金額は法律ではなく、社内の旅費規程で決まる

出張の日当や宿泊費の金額を決めた法律はありません。会社ごとに旅費規程を作り、役職や行き先(国内か海外か、距離など)ごとに金額を定めています。日当を出さない会社もあります。

問い合わせには、規程の表から、その社員の役職と行き先に当てはまる金額を探して答えます。宿泊費を定額で出すのか、上限つきで実費を出すのかも、会社によって違います。上限を超えた分を自己負担にするのか、事前に承認を受ければ認めるのかも、あわせて伝えます。規程が古く、今のホテル代の相場に合っていない場合は、問い合わせの内容を記録しておくと規程を見直すときの材料になります。

2通常必要な範囲の旅費や日当には、所得税がかからない

所得税法では、出張や転勤のための旅費のうち通常必要と認められるものは非課税です。国税庁のタックスアンサーでも、非課税となる手当の例として挙げられています。

通常必要かどうかは、所得税基本通達9-3で判断します。旅行の目的、行き先、経路、期間、宿泊の要否、職務の内容や地位などからみて、その旅行に通常かかる費用に充てられるものかどうかを判断します。そのうえで、次の2点を勘案します。1つは、支給額が役員と社員の全体を通じて、バランスのとれた基準で計算されているかです。もう1つは、同業種・同規模の会社が一般に払っている金額に照らして相当かです。

法律に「日当は1日いくらまで」という上限額はありません。旅費規程に沿って、実際の出張に応じて支給することが前提です。出張の実態と関係なく一律に払う手当は、旅費ではなく給与として課税される場合があります。

3国内出張の旅費は、帳簿のみで消費税の控除ができる

社員に支給する国内出張の旅費、宿泊費、日当のうち、その旅行に通常必要と認められる部分は、会社の課税仕入れになります。社員はインボイス発行事業者ではありませんが、帳簿に一定の事項を書けば、インボイスを保存しなくても消費税の仕入税額控除ができます。国税庁はこれを出張旅費等特例と呼んでいます。

通常必要かどうかは、所得税基本通達9-3と同じ基準で判定します。つまり、所得税が非課税になる範囲で、帳簿のみの保存が認められます。定額の支給だけでなく、実費精算の場合も対象です。ただし、会社から宿泊先などへ直接払っているのと同じとみなせる実費精算もあります。その場合は、通常の仕入れと同じようにインボイスの保存が必要です。

海外出張のために支給する旅費、宿泊費、日当は、原則として課税仕入れになりません。

4税法で領収書が要らない場合でも、社内で出してもらうものは別に決める

出張旅費等特例があるので、税法上は宿泊費の領収書がなくても控除できる範囲があります。一方で、会社としては実際にその出張があったか、宿泊費が上限の範囲内かを確かめる必要があります。

実費精算の会社では、宿泊費の領収書や予約確認メールを出してもらいます。定額支給の会社でも、承認済みの出張申請や、日程と行き先を書いた出張報告を精算の根拠にします。社員には、税金の話と、社内で出す書類の話を分けて伝えると混乱しません。

5日帰りや移動だけの日の扱いも、規程で決めておく

日当については、日帰りでも出るのか、移動だけの日も対象か、半日の場合はいくらか、という質問が続きます。これらも旅費規程で決める部分です。規程に書いていない場合は、経理と人事で解釈をそろえてから答えます。

出張先で取引先と食事をした費用を、日当とは別に交際費や会議費として精算するかも決めておきます。日当で賄う範囲と、別に精算できる範囲を規程で決めておき、社員が二重に申請しないようにします。

出張の予定が変わったときの扱いも聞かれます。台風で帰れず1泊増えた、先方の都合で日帰りが宿泊になった、といった場合です。追加の宿泊費や日当を認める条件と、誰に連絡すればよいかを決めておけば、社員は出張先から迷わず相談できます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 日当の金額(役職別、国内・海外別、日帰り・宿泊別)
  • 宿泊費を定額で出すか、上限つきの実費で出すかと、その上限額
  • 出張と扱う距離や時間の基準
  • 上限を超えた宿泊費の扱い(自己負担か、事前承認で認めるか)
  • 精算のときに出してもらう書類(領収書、予約確認メール、出張報告など)
  • 出張先での取引先との食事代を、日当と別に精算するか

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 出張の日当や宿泊費はいくら出ますか?

A. 日当と宿泊費は【旅費規程】で決まっています。国内出張の日当は【1日◯円(役職によって異なります)】、宿泊費は【1泊◯円まで】です。日帰り出張の日当は【◯円】です。

出張から戻ったら、【◯日以内】【経費精算システム名】で精算してください。【宿泊費の領収書】【出張報告】を添付してください。宿泊費が上限を超えそうなときは、【予約する前に上長の承認】を受けてください。

規程の範囲内で支給する日当に、所得税はかかりません。旅費規程は【掲載場所】で見られます。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 法律で日当の上限額が決まっているかのように説明してしまう
  • 出張の実態と関係なく一律に日当を払い、給与として課税される扱いになる
  • 海外出張の旅費にも、国内出張と同じ消費税の処理をしてしまう

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。