立て替えが高額になるので前もってお金が欲しいと言われたら

社員からはこう聞かれます
- 来月の出張、ホテル代と新幹線で10万円くらいかかりそうです。先にお金をもらえませんか?
- 展示会の備品を買いたいんですが、自分のカードだと限度額が足りません。どうすればいいですか?
- 仮払いって、どうやって申請するんですか?
ひと言でいうと
仮払いの制度があれば、使い道と見込み金額を申請して先に受け取り、使ったあとに領収書をそろえて精算してもらいます。ホテルや備品のように会社が直接払えるものは、そちらを案内します。
社員は、高額を自分のお金で立て替えることや、カードの引き落としまでに精算が間に合わないことを心配しています。会社としては、仮払いを出す方法のほかに、会社が直接支払う方法も選べます。
- 1社員使い道と見込み金額を申請する
- 2経理上長の承認を確認し仮払金を渡す
- 3社員出張や購入をする
- 4社員領収書をそろえて精算を申請する
- 5経理差額を確認して精算する不足は追加払い、余りは返金してもらう
答えるときに押さえること
1仮払いは、先に見込みの金額を渡してあとで精算する仕組み
仮払いは、出張や購入の前に見込みの金額を社員に渡し、使ったあとに実際の金額との差を精算する方法です。会計では一時的に「仮払金」として処理し、精算した時点で旅費や消耗品費などの科目に振り替えます。
社員から見ると、使う前にお金を受け取り、あとで領収書と余ったお金を戻す流れです。足りなかった分は会社が追加で支払い、余った分は社員が返します。この流れを最初に説明しておくと、「もらったお金は自分の判断で使ってよい」という誤解を防げます。
2仮払いの前に、会社が直接払えないかを考える
高額の立て替えの相談は、仮払いを出さなくても解決できることがあります。たとえば、ホテルや航空券は会社が契約する出張手配サービスで予約できます。備品は会社の取引先から請求書払いで買う方法や、会社のクレジットカードを貸し出す方法もあります。
仮払いは、お金の受け渡しと精算の手間がかかり、精算漏れも起きやすい方法です。会社が直接払える経路があるなら、そちらを案内したほうが社員も経理も手間が減ります。自社で使える方法を一覧にしておき、金額や用途に応じて案内できるようにします。展示会の備品のように購入先が決まっているものは、発注の段階で請求書払いに切り替えられないか、社員と一緒に確認します。
3申請に書いてもらう項目と、受け取れる日を伝える
仮払いの申請では、使い道、見込み金額、使う日、精算の予定日を書いてもらいます。出張なら行き先、日程、泊数も必要です。あわせて、誰の承認が要るかと、申請してから何営業日で受け取れるかを伝えます。
振込で渡す会社では、振込日が週に1回などに決まっていることがあります。出張の直前に申請されると間に合わないので、「出発の◯営業日前までに申請」のような期限を規程に書いておきます。社員には、期限と受け取り方法を、具体的な日付に置き換えて伝えます。現金で渡す会社は、受け取りの記録を残す方法も決めておきます。
4精算の期限と、精算されないまま残ったときの扱いを決める
仮払いで起きやすいのは、使い終わったあとの精算が遅れることです。精算されない仮払金が残ると、経理は月末や決算のたびに残高を確かめ、一件ずつ本人に問い合わせることになります。
出張から戻って何日以内、購入してから何日以内に精算するかを決め、仮払いを渡すときに一緒に伝えます。精算が済むまで次の仮払いを出さない、という決まりを置く会社もあります。精算のときに出してもらう領収書の種類は、通常の経費精算と同じ規程に従います。
決算の前には、残っている仮払金を一覧にして、精算の済んでいない社員に声をかけます。退職や異動が決まった社員に未精算の仮払金がないかも、手続きの中で確かめるようにしておくと漏れません。社員への返事では、仮払いを受け取る前に精算の期限をあらかじめ伝えておきます。
5出張の仮払いも、消費税の扱いは通常の出張旅費と同じ
出張の旅費や日当を仮払いで渡す場合も、消費税の扱いはあとから精算する場合と変わりません。対象は、社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当のうち、通常必要と認められる部分です。国税庁のQ&A(問107-2)では、この支給には概算払いも実費精算も含まれるとしています。どちらの場合も、帳簿のみの保存で消費税の仕入税額控除ができます。
一方、備品などの購入に使った仮払いは、通常の買い物と同じです。消費税の控除にはお店のインボイスが必要なので、領収書やレシートを必ず受け取ってもらいます。社員には「出張の宿泊費や日当」と「物の購入」で出してもらう書類が違うことを、規程に沿って案内します。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 仮払いの制度があるか、対象になる用途と金額の下限
- 仮払いの申請方法と承認する人
- 申請から受け取りまでの日数と、受け取り方法(振込か現金か)
- 精算の期限と、期限を過ぎたときの扱い
- 会社が直接支払える方法(出張手配サービス、請求書払い、会社のクレジットカード)
- 余った仮払金の返し方
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 高額の立て替えが必要なとき、先にお金を受け取れますか?
A. 【◯万円以上】の出張費や購入費は、仮払いを申請できます。【経費精算システム名】の【仮払申請】で、使い道・見込み金額・使う日・精算予定日を入力し、【上長】の承認を受けてください。
申請は【使う日の◯営業日前】までに行ってください。承認後、【毎週◯曜日】に給与の振込口座へ振り込みます。
使ったあとは【◯日以内】に領収書をそろえて精算してください。余った分は【返金方法】でご返金ください。ホテルや航空券は【出張手配サービス名】で予約すると、会社が直接支払うので立て替えは要りません。わからないことは【経理担当の連絡先】までお問い合わせください。
続けて聞かれやすいこと
仮払いでもらったお金が余りました。
精算のときに実際に使った金額で申請してもらい、差額を返してもらいます。返し方は社内で決めた方法を案内します。
仮払いの金額より多くかかりました。
実際の金額で精算を申請してもらえば、足りなかった分を会社が支払います。大きく超えそうなときは、使う前に上長へ相談してもらいます。
出張が中止になりました。
受け取った仮払金は全額返してもらいます。キャンセル料がかかった場合は、その領収書をつけて精算してもらいます。
答えるときに間違えやすいこと
- 仮払いを渡すときに精算の期限を伝えず、精算されない仮払金が残る
- 会社が直接払える方法があるのに、仮払いだけを案内してしまう
- 精算が終わっていない仮払いがある社員に、続けて新しい仮払いを出してしまう