経理

取引先との会食代を経費にできるか聞かれたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 取引先と食事に行ったんですが、経費で落ちますか?
  • 1人1万円までなら大丈夫って聞いたんですけど、本当ですか?
  • 社内のメンバーだけの飲み会も経費になりますか?

ひと言でいうと

業務のための取引先との会食は、社内の規程と承認に沿って精算できます。1人あたり1万円以下の飲食費は税務上交際費から外せる扱いがあるので、参加者の名前と人数を必ず書いてもらいます。

社員が知りたいのは、自分が払った会食代を精算してもらえるかどうかです。「1人1万円」という話をどこかで聞き、その金額を超えたら自腹になるのではと心配していることもあります。

交際費から除外できるかの判断
取引先など社外の人が参加しているか
  • はい
    飲食費を参加人数(自社含む)で割ると1万円以下か
    • はい
      交際費から除外し、参加者名等を残すよう伝える
    • いいえ
      交際費になる。損金算入は区分に従うと伝える
  • いいえ
    対象外。精算できるかは社内規程を案内する

出典:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

答えるときに押さえること

1精算できるかと、税務上の交際費になるかは別の話

社員が聞く「経費で落ちるか」には、2つの意味が混ざっています。立て替えたお金を会社が返すかどうか(精算)と、会社の法人税の計算で費用として差し引けるかどうか(損金算入)です。

精算できるかは、社内の規程で決めます。取引先との会食を認める条件、上限額、事前承認の要否などです。一方、1人1万円という基準は法人税の話で、社員が自腹になるかどうかを決めるものではありません。社員には、まず社内のルールで精算できるかを答え、そのうえで申請に書いてほしい情報を伝えます。

21人あたり1万円以下の飲食費は、交際費から除かれる

法人税では、取引先の接待などのための費用は交際費等となり、損金にできる額に制限があります。ただし、飲食費を参加者の人数で割った金額が1万円以下なら、交際費等から除かれます。この基準は2024年4月1日以後に支出した飲食費から適用されていて、それより前は5,000円でした。

人数には、自社の参加者も含めます。たとえば取引先2人と自社2人の計4人で36,000円なら、1人あたり9,000円なので基準の範囲内です。1万円の判定は、会社が使っている消費税の経理方式(税抜経理か税込経理か)で計算した金額で行います。

この扱いは、自社の役員や社員、その親族だけで飲食する費用には使えません。社内のメンバーだけの飲み会は対象外です。

3基準を使うには、書類に決まった事項を残す

1人1万円以下の扱いを受けるには、次の事項を記載した書類を保存していることが条件です。

1つ目は飲食のあった年月日です。2つ目は、参加した取引先などの氏名または名称と、自社との関係です。3つ目は参加した人数、4つ目は費用の金額と飲食店の名称・所在地です。5つ目として、そのほか飲食費であることを明らかにするために必要な事項も求められます。

領収書だけでは、参加者や人数がわかりません。経費精算の申請画面に、参加者の会社名・氏名と人数を入力する欄を設けておくと、書き漏れを防げます。社員への返事では、「誰と、何人で行ったか」を必ず書いてもらうよう伝えます。

41万円を超えた飲食費や、飲食費に当たらない費用

1人1万円を超えた飲食費は交際費等になり、損金にできる額は会社の資本金などで変わります。期末の資本金が1億円以下などの会社は、年800万円までの定額控除か、接待のための飲食費の50%を損金にする方法かを選べます。資本金が100億円を超える会社は、交際費等の全額が損金になりません。それ以外の会社は、接待のための飲食費の50%を損金にできます。

ゴルフや観劇、旅行などの催しに伴う飲食は、原則としてその催しと一体の費用とされ、飲食費として扱いません。接待する店への送迎費や、飲食物の詰め合わせを贈る費用も飲食費に当たりません。ゴルフのあとの食事代のような判断が分かれるものは、経理で判断するので申請の備考に経緯を書いてもらいます。

5会議で出すお茶や弁当は、交際費とは別に扱える

会議に関連して出す茶菓や弁当など、通常要する程度の飲食物の費用も、交際費等から除かれます。社内の打ち合わせで出す弁当代は、1人1万円の判定とは別に、この扱いで考えます。

社員から「会議費として出せば、金額に関係なく経費になるのでは」と聞かれることがあります。交際費等から除かれるのは、会議に関連して、通常要する程度の飲食物を出す費用です。お店での会食を会議費として申請してもらう場合の判断基準は、経理で決めて社内で統一しておきます。

科目の名前が「会議費」でも「交際費」でも、税務上の扱いは費用の中身で決まります。社員には科目を選ばせるより、何のための飲食で、誰が何人参加したかを書いてもらい、科目は経理が決めるほうが、申請の誤りが減ります。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 取引先との会食を精算できる条件(事前承認の要否、対象になる相手)
  • 1回あたり、1人あたりの上限額
  • 参加者の会社名・氏名と人数を入力する欄や書式
  • 社内のメンバーだけの食事(懇親会、送別会など)を精算するか、どの科目で処理するか
  • 自社の消費税の経理方式(税抜経理か税込経理か)

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 取引先との会食代は精算できますか?

A. 業務のための取引先との会食は、【事前に上長の承認】を受けたうえで精算できます。上限は【1人あたり◯円】です。

【経費精算システム名】で申請するときは、領収書を添付し、次の項目を必ず入力してください。会食の日付、参加した取引先の会社名と氏名、自社の参加者の氏名、参加した人数、お店の名前と所在地です。参加者と人数の記入がない申請は、税務上の処理ができないため差し戻します。

社内のメンバーだけの食事は【精算の対象外です】。わからないことは【経理担当の連絡先】までお問い合わせください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 1人1万円の基準を、社員が自腹になるかどうかの基準として説明してしまう
  • 人数を取引先の人数だけで数え、自社の参加者を入れずに計算する
  • 2024年3月以前の基準だった5,000円のまま案内している
  • 社内のメンバーだけの飲み会にも、1人1万円の基準を使ってしまう

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。