事務所の鍵やカードキーの貸し出しを聞かれたら

社員からはこう聞かれます
- 土曜に少しだけ出社したいので、事務所の鍵を貸してもらえますか?
- 朝いちばんに来ることが多いので、カードキーをもらえませんか?
- 書庫の鍵はどこにありますか?
ひと言でいうと
事務所の鍵やカードキーは、誰にいつ渡したかを記録に残し、返ってきたところまで確かめる形で貸し出します。貸し出せる範囲と承認の要否は会社が決めるので、【鍵の貸し出しの申請方法】で申請してもらいます。常時持つ鍵にするか、その日だけ貸すかは【判断する人】が決めます。
鍵を借りたい社員は、入りたい日に入れるかどうかだけを気にしています。総務の側で困るのは、誰が今どの鍵を持っているか分からなくなることです。渡す前に、何のために必要かと、いつ返すかを決めておきます。
- はい規程どおりの承認が取れているか
- はい常時持つ鍵として、台帳に記録して渡す
- いいえ先に承認を取るよう案内する
- はい
- いいえ入りたいのは書庫や金庫がある区域か
- はい書庫の担当が立ち会う形で対応すると伝える
- いいえその日だけの貸し出しにし、返却日を台帳に書く
- はい
答えるときに押さえること
1いつ、どこに入りたいのかを先に聞く
「鍵を貸してほしい」という問い合わせには、繰り返し早朝や休日に入る必要がある場合と、その日一度だけ入りたい場合があります。前者なら常時持ってもらう鍵を渡し、後者ならその日のうちに返してもらう貸し出しにします。切り分けないまま渡すと、一度貸した鍵が返らないまま社内に散らばります。
入りたい場所も聞きます。事務所の入口と、書庫や金庫、サーバーを置く部屋では、渡してよい相手が違います。入口のカードキーは認める一方で、書庫の鍵は管理している担当者が開けるという分け方にしている会社もあります。
2渡した鍵と返ってきた鍵を、1つの台帳で追う
鍵の貸し出しでは、鍵の種類(入口、書庫、金庫など)、本数、渡した日、渡した相手、返す予定日、返ってきた日を1つの台帳に書きます。紙でもクラウドの表でもかまいませんが、場所を分けると、返却待ちの鍵が見えなくなります。
台帳とあわせて、鍵が全部で何本あり、予備をどこに保管しているかも書き出します。本数が分からないと、1本足りないことに気づけません。カードキーの場合は、発行した番号と持っている人の対応を、入退室管理システムの記録と突き合わせます。
3解錠や施錠を頼むなら、その時間を労働時間として扱う
鍵を預かった社員に、始業前の解錠や終業後の施錠を頼むことがあります。厚生労働省のガイドラインは、労働時間を使用者の指揮命令下に置かれている時間としています。使用者の指示で業務に必要な準備行為や後始末を事業場内で行った時間も、労働時間として扱わなければなりません。労働時間に当たるかどうかは、就業規則などの定めによらず、指揮命令下に置かれていたと評価できるかで客観的に決まります。
始業の15分前に来て開ける運用にしているなら、その15分も打刻の対象になります。鍵を渡すときに、早出や居残りの分をどう申請するかもあわせて伝えます。
4個人情報や現金を置く場所の鍵は、入口の鍵と分ける
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、物理的安全管理措置の例を挙げています。個人データが載った書類や電子媒体は、施錠できるキャビネットや書庫に保管することとされています。個人データを取り扱う区域の管理についても、ICカードやナンバーキーによる入退室管理システムの設置が挙げられています。
入口の鍵を貸した相手が、そのまま人事の書類や給与の資料にも手が届く状態にはしません。書庫やキャビネットの鍵は別に保管し、開ける相手を限ります。鍵を入れる箱を事務所の机の上に置いたままにするのもやめます。
5なくしたときの連絡先と、費用の扱いを先に決めておく
鍵をなくしたときは、気づいた時点で連絡してもらいます。カードキーなら利用を止め、物理的な鍵ならシリンダーの交換が必要かを判断します。交換の費用は会社が負担するのか社員に求めるのかを、渡す前に決めて伝えます。
「鍵をなくしたら一律でいくら払う」という形で額をあらかじめ決める定めは、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に反します。実際に費用を求めるかは、紛失の経緯を見てそのつど判断します。給与から差し引く場合は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要です(同法第24条)。異動や退職のときは、返却物のチェックリストに鍵を入れておきます。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 鍵の貸し出しの申請方法と、承認する人
- 常時持たせてよい鍵と、その日だけ貸す鍵の区分
- 鍵の台帳の置き場所と、書く項目
- 予備の鍵とカードキーの保管場所
- なくしたときの連絡先(夜間や休日を含む)
- シリンダー交換やカード再発行の費用の扱い
- 早出や居残りで解錠・施錠した時間の申請方法
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 事務所の鍵やカードキーを借りたいときは、どうすればいいですか?
A. 事務所の鍵やカードキーは、【鍵の貸し出しの申請方法】で申請してください。【判断する人】が、常時お渡しする鍵にするか、その日だけの貸し出しにするかを決めます。
受け渡しのときに、鍵の種類と本数、返す予定日を台帳に記録します。その日だけの貸し出しの場合は、【返却の期限】までに【返却先】へ返してください。
書庫や金庫の鍵は入口の鍵と分けて管理しています。中の書類が必要なときは、【書庫の担当】に連絡してください。
鍵をなくしたときは、すぐに【連絡先】へ連絡してください。夜間や休日は【時間外の連絡先】です。交換や再発行の費用は【費用の扱い】です。
始業前の解錠や終業後の施錠をお願いしている場合は、その時間も【早出や残業の申請方法】で申請してください。
異動や退職のときは、お渡ししている鍵をすべて【返却先】に返してください。
続けて聞かれやすいこと
不便なので、自分で合鍵を作ってもいいですか?
会社が把握していない鍵が増えると、何本あるかが分からなくなります。合鍵は作らないよう伝え、必要な本数を【鍵の貸し出しの申請方法】で申請してもらいます。複製しにくい鍵に変えるかどうかは、【判断する人】が検討します。
いま誰が鍵を持っているか知りたいです
台帳で確かめて答えます。台帳と実際の本数が合わない場合は、その場で答えずに、持っている可能性のある人に確認してから答えます。カードキーは入退室管理システムの発行記録でも確かめられます。
借りた鍵を、同じ部署の人に渡しておいてもいいですか?
渡した相手と台帳の記録が合わなくなるため、人から人への受け渡しは断ります。別の人が必要なら、その人の名前で改めて申請してもらいます。
答えるときに間違えやすいこと
- その日だけの貸し出しのつもりが、返却日を決めずに渡したまま残る
- 鍵の全体の本数と予備の保管場所を把握しないまま、貸し出しだけ記録する
- 入口の鍵を貸した相手が、人事や経理の書類が入る書庫も開けられる状態にする
- 始業前の解錠を頼みながら、その時間を打刻の対象にしない
- 紛失したときの弁償額を、あらかじめ規程で決めてしまう
- 異動や退職のときに、鍵の返却を確かめないまま手続きを終える