異動や昇格で名刺を作り直したいと言われたら

社員からはこう聞かれます
- 来月から別の部署になるので、名刺を作り直したいです
- 昇格の内示が出ました。新しい肩書きの名刺はいつから使えますか?
- 異動の日までに新しい名刺が間に合わないのですが、どうすればいいですか?
ひと言でいうと
部署名や肩書きが変わる名刺は、人事の発令日から新しいものに切り替え、発令日の前日までは今の名刺を使います。作り直しは【申請方法】で受け付け、届くまで【日数】かかるので、異動や昇格の連絡を受けた時点で申請してもらいます。手元に残った古い名刺は【古い名刺の返却先】に戻してもらいます。
異動や昇格を控えた社員が気にしているのは、新しい名刺がいつ手元に届くか、それまでに人と会うときは何を渡せばよいかです。手元に残っている古い名刺を捨ててよいのかも分かりません。会社の側で決めておくのは、名刺を切り替える日と、古い名刺の集め方です。
- 1社員辞令の発令日と新しい部署名を添えて申請する発令日の前
- 2会社部署名と役職名を正式名称と照らして発注する
- 3社員発令日まで今の名刺を使い、異動の日付を口頭で伝える
- 4社員新しい名刺に切り替える発令日
- 5社員残った古い名刺を返却先に戻す
- 6会社集めた名刺を復元できない方法で捨てる
出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
答えるときに押さえること
1最初に、発令日と今の名刺の残り枚数を聞く
名刺の作り直しは、申請から手元に届くまで日数がかかります。問い合わせを受けたら、発令日がいつかと、今の名刺が何枚残っているかを聞きます。発令日まで日数があるなら通常の申請で足り、残りわずかで発令日が近いなら、間に合わないことを前提に渡し方を決めます。
発令日は、社員本人が内示で聞いた日付と、人事が出す辞令の日付がずれていることがあります。申請を受けるときは、辞令に書かれた日付を正式な発令日として扱い、社員の記憶だけで刷らないようにします。部署名や役職名の書き方は社内の正式名称に合わせます。「営業1部」と「営業第一部」のように表記が分かれていると、刷り直しになります。
2新しい名刺は発令日から使ってもらう
異動や昇格が決まっていても、発令日の前は今の部署と肩書きが有効です。新しい名刺を先に配ると、社外の相手は新しい肩書きで判断して話を進めます。決裁の権限がまだ移っていない時期に、権限がある人として扱われることになります。内示の段階では人事の決定が社外に出ることにもなるため、発令日より前に配らないと決めておきます。
発令日より前に引き継ぎの挨拶へ行く場合は、今の名刺を渡し、「【発令日】から【新しい部署】に移ります」と口頭か挨拶状で伝えてもらいます。日付を添えれば、相手は今の肩書きと今後の担当を取り違えません。
3発令日に間に合わないときの渡し方を決めておく
春や秋の異動の時期は申請が集中し、発令日に間に合わないことがあります。間に合わないときの渡し方を先に決めておけば、社員が自分で判断して困ることがなくなります。今の名刺に新しい部署名を書き足したり、古い部署名を二重線で消して渡したりするのは避けます。相手の手元に残る紙なので、後から見たときにどちらが正しいのか分かりません。
代わりの渡し方は3つあります。今の名刺を渡して異動の日付を口頭で伝える方法、社名と氏名だけを刷った名刺を渡して連絡先をメールで送る方法、その場では渡さず後日郵送する方法のいずれかです。どれを使うかを決め、メールの署名と社内の連絡先一覧をいつ書き換えるかもあわせて案内します。名刺が届くまでの連絡先が分かれば、相手が困ることはありません。
4古い名刺は集めて、復元できない方法で捨てる
古い名刺には社員の氏名、部署、電話番号、メールアドレスが載っています。会社がまとめて保管したり捨てたりする分は、個人情報が記載された書類として扱います。個人情報保護法は、個人データの漏えいや滅失を防ぐために必要かつ適切な措置を取ることを事業者に求めています(第23条)。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、廃棄方法の例として焼却や溶解、適切なシュレッダー処理など復元できない手段を挙げています。古紙回収にそのまま出す運用にはしません。
同法は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることも定めています(第22条)。古い名刺をいつまで手元に置けるかを決め、返却先と捨て方を社員に伝えます。社員が自分で捨てる場合は、社内のシュレッダーを使ってもらいます。
5改姓や社名の表記が変わったときは、切り替える日をそろえる
結婚などで姓が変わった社員から、名刺をどうするか聞かれることがあります。名刺に戸籍の姓を載せるか、これまでの姓を続けて使うかは会社が決めます。本人の希望を聞いてから作ります。給与や社会保険の氏名は人事の手続きで別に扱うので、名刺の表記とは分けて考えます。
社名、住所、電話番号が変わるときは、社員一人ずつの申請ではなく、全員分を同じ日付で切り替えます。切り替え日より前に刷った分は使えなくなるので、変更が決まった時点で発注を止め、残りの枚数を聞いてから必要な分だけ刷ります。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 名刺の作り直しの申請方法と、申請から手元に届くまでの日数
- 新しい名刺に切り替える日(発令日か、別に決めた基準日か)
- 発令日に間に合わないときの渡し方
- 古い名刺の返却先と、捨て方(社内のシュレッダー、回収箱など)
- 作り直しの費用を持つ部署と、1回に作れる枚数
- 改姓したときに、これまでの姓を名刺に使えるか
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 異動や昇格で部署名や肩書きが変わります。名刺はどうすればいいですか?
A. 新しい名刺は【申請方法】で申請してください。手元に届くまで【日数】かかるので、異動や昇格の連絡を受けたらすぐに手続きしてください。申請のときは、辞令に書かれた発令日、新しい部署名と役職名、新しい連絡先、必要な枚数を書いてください。
新しい名刺は【発令日】から使ってください。それまでは今の名刺を渡し、「【発令日】から【新しい部署】に移ります」と口頭でお伝えください。古い部署名を二重線で消して渡すことはしないでください。
発令日までに名刺が届かないときは、【間に合わないときの渡し方】で対応してください。
手元に残った古い名刺は【古い名刺の返却先】に戻すか、【捨て方】で処分してください。個人情報が載っているので、そのまま古紙回収に出さないでください。
続けて聞かれやすいこと
内示が出たので、先に新しい名刺を作っておきたいです
辞令が出ていれば、発令日を書いて申請できます。内示だけで辞令がまだ出ていない段階では、【申請できる時期】から申請してもらいます。作った名刺は【発令日】まで配らないようお願いします。
古い名刺がまだ100枚残っています。捨てるのはもったいないのですが
部署名や肩書きが変わった名刺は、発令日から渡せません。次からは【1回に作れる枚数】の範囲で、使う分だけ申請してください。残った分は【古い名刺の返却先】に戻すか、【捨て方】で処分してください。
結婚して姓が変わりました。名刺はこれまでの姓のままにできますか?
名刺の氏名の書き方は【改姓したときの名刺の扱い】のとおりです。これまでの姓を続けて使う場合は、社内の連絡先一覧とメールの署名をどうするかもあわせて決めます。給与や社会保険の氏名の手続きは【人事の窓口】で別に行ってください。
発令日の前に、取引先へ新しい肩書きの名刺をうっかり渡してしまいました。法律上、何か問題になりますか?
民法は、会社が第三者に対して「代理権を与えた」と見える表示をしていた場合、相手がそのことを知らず、知らなかったことに過失もなければ、その表示の範囲内で会社が責任を負うと定めています(民法第109条)。新しい部署名や役職名を記した名刺を渡す行為も、この表示に当たりうるとされています。相手がその名刺を信じて契約などの話を進めてしまうと、発令日前でも会社が責任を負う可能性があるため、渡してしまったときはすぐに訂正の連絡を入れ、正式な発令日を伝え直してもらいます。
答えるときに間違えやすいこと
- 社員が内示で聞いた日付のまま刷ってしまい、辞令の発令日とずれる
- 部署名や役職名を社内の正式名称と照らさず、表記が違ったまま納品される
- 発令日より前に新しい肩書きの名刺を配り、権限が移る前から新しい役職として扱われる
- 古い名刺を個人情報が載った書類として扱わず、そのまま古紙回収に出す
- 異動の時期に申請が集中することを見込まず、間に合わないときの渡し方を決めていない