総務

退職するときに会社へ返すものを聞かれたら

2026年9月20日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 来月で退職するのですが、会社に返すものは何ですか?
  • 健康保険証はもう持っていないのですが、何か返すものはありますか?
  • パソコンは最終出社日に置いていけばいいですか?

ひと言でいうと

退職のときに社員が会社へ返すのは、会社から貸し出されたものと、健康保険の資格確認書です。会社から社員へ渡すのは、雇用保険被保険者証、離職票、源泉徴収票で、返すものとは分けて案内します。返す期限は【最終出社日】、返す先は【返却の窓口】と伝えます。

社員が知りたいのは、退職の日までに自分が何を用意すればよいかです。返しそびれて連絡が来るのが気まずい、という心配もあります。総務としては、社員が会社へ返すものと、会社が社員へ渡すものを分けて、1枚にまとめて渡せる形にしておきます。

退職のときのやりとりと期限
  1. 1社員貸与品と資格確認書を返す
  2. 2会社健康保険・厚生年金の資格喪失届を出す事実の発生から5日以内
  3. 3会社雇用保険の資格喪失届を出す翌日から10日以内
  4. 4会社源泉徴収票を本人に渡す退職の日以後1か月以内
  5. 5会社離職票を本人に届ける

出典:日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」

答えるときに押さえること

1返すものと受け取るものを分けて答える

退職のときに動くものは2つに分かれます。社員が会社へ返すものと、会社が社員へ渡すものです。社員は返すものだけを聞いているつもりでも、知りたいのは退職の日までに自分が何をすればよいかです。最初に両方を並べて答えると、あとから同じ社員に何度も連絡せずに済みます。

返すものは、会社が貸し出したものと、健康保険の資格確認書です。貸し出したものには、社員証や入館証、鍵やカードキー、パソコンやスマートフォン、制服が入ります。業務で使った書類やデータ、会社の名刺と取引先からもらった名刺、通勤定期券も返してもらいます。貸与品の中身は会社ごとに違うので、管理台帳や貸出の記録から、その社員の分を印刷して渡すのが早いです。

渡すものは、雇用保険被保険者証、離職票、源泉徴収票です。会社が預かっている基礎年金番号通知書や年金手帳があれば、それも本人に返します。2022年4月より前から年金制度に入っている社員は年金手帳を持ち、そのあとに初めて加入した社員には基礎年金番号通知書が発行されています。

2健康保険は、資格確認書を回収して届け出に添える

健康保険で返してもらうのは、資格確認書です。従来の健康保険証は2024年12月2日から新たに発行されなくなり、有効期限も2025年12月1日で終わっています。マイナ保険証を使っている社員は、健康保険について返すものがありません。

会社は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を、事実の発生から5日以内に事務センターか管轄の年金事務所へ出します。全国健康保険協会の健康保険に入っている会社では、回収した資格確認書を届け出に添えます。高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証が交付されているときは、それらも添えます。家族が扶養に入っているなら、家族の分も同じように回収します。

社員がなくしていて回収できないときは、「資格確認書回収不能届」を添えて出します。返してもらえないからといって、届け出を遅らせる必要はありません。社員には「見つからないときは、そのままご連絡ください」と伝えておくと、退職の直前に探し回らずに済みます。

3会社から渡す書類には、それぞれ期限がある

雇用保険の手続きの期限は、社員が被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内です。「雇用保険被保険者資格喪失届」を出し、離職票が必要な社員については「雇用保険被保険者離職証明書」を添えます。離職票が要らないときは、離職証明書を出さなくてかまいません。次の勤め先が決まっている社員でも、あとから必要になることがあるので、要るかどうかを口頭で確かめ、記録に残しておきます。

源泉徴収票は、年の途中で退職した社員については、退職の日以後1か月以内に交付すると所得税法で決まっています。給与の締めの都合で遅れやすい書類なので、いつ渡すかを社員に先に伝えます。

雇用保険被保険者証は、会社が預かっていることが多い書類です。ハローワークも、在職中に有無を確認するよう案内しています。退職の日までに本人へ渡しておきます。退職証明書は、社員から請求があったときに遅滞なく交付します。書けるのは、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由で、社員が請求していない事項は書けません。

4返ってこない貸与品の代金を、給与から引かない

貸与品が返ってこないとき、最後の給与から代金を差し引きたくなりますが、賃金は全額を払うのが原則です。差し引けるのは、法令に定めがある場合か、書面による協定がある場合に限られます。協定の相手は、社員の過半数で組織する労働組合、それがないときは社員の過半数を代表する者です。協定がないまま引くと、賃金の未払いになります。

返っていないものがあるときは、まず本人に連絡し、いつ、どのような方法で返すかを決めます。郵送で返してもらうときは、送料をどちらが持つかもそのときに伝えます。それでも返ってこないときは、社内の規程と協定を確かめたうえで、会社として請求するかどうかを判断します。

逆に、会社が預かっている金品は、権利者から請求があれば7日以内に返します。社員が積み立てていたお金や、ロッカーに残った私物を、退職の手続きが全部終わるまで預かったままにしないようにします。

5返す期限と方法を、1枚にまとめて先に渡す

同じ質問が毎回来るなら、返却物の一覧を1枚にして、退職の申し出を受けた時点で渡します。書く内容は、返すものの名前、返す先の部署や担当者、返す期限です。郵送のときの宛先と送料の扱い、パソコンやスマートフォンのデータをどうするか、会社のアカウントをいつ止めるかも書きます。

最終出社日と退職日が離れているときは、どちらを基準に返すのかも書いておきます。有給休暇の消化で最終出社日から退職日まで日があくと、鍵やパソコンを持ったままになりがちです。アカウントを止める日を最終出社日に合わせるのか、退職日に合わせるのかは、情シスと先に決めておきます。

一覧を渡したあとも、社員から「これは返すものですか」と個別に聞かれます。回答文例をそのまま社内FAQに載せておくと、担当者が代わっても同じ答えを返せます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 返却物の一覧と、返す先の部署や担当者
  • 返す期限を最終出社日にするか退職日にするか
  • 郵送で返すときの宛先と、送料をどちらが持つか
  • 貸与品の管理台帳の置き場所と記入の担当
  • 会社のアカウントを止める日と、パソコンのデータの扱い
  • 退職証明書の様式と、発行までにかかる日数

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 退職するとき、会社に返すものを教えてください

A. 【最終出社日】までに、次のものを【返却の窓口】へお返しください。対象になるのは、社員証・入館証、鍵やカードキー、パソコンとスマートフォン、制服、業務で使った書類とデータ、会社の名刺と取引先からいただいた名刺、通勤定期券です。

健康保険の資格確認書をお持ちの方は、あわせてお返しください。マイナ保険証をお使いで資格確認書をお持ちでない方は、健康保険についてお返しいただくものはありません。ご家族が扶養に入っている場合は、ご家族の分もお願いします。見つからないときは、そのまま【担当者名】までご連絡ください。

会社からお渡しするのは、雇用保険被保険者証、離職票、源泉徴収票です。源泉徴収票は、退職の日から1か月以内にお渡しします。離職票が必要かどうかを【担当者名】までお知らせください。郵送でお返しになる場合の宛先は、【返却の案内】をご確認ください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 「健康保険証を返してください」と案内し、資格確認書しか持っていない社員を迷わせる
  • 返ってこない貸与品の代金を、書面の協定がないまま最後の給与から差し引く
  • 離職票が要るかどうかを確かめないまま、雇用保険の手続きを進める

出典

2026年9月20日時点で内容を確認しています。