人事・労務

家族を扶養に入れたいと言われたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 妻が仕事を辞めたので、扶養に入れたいです
  • 子どもがアルバイトをしていても扶養に入れますか?
  • 扶養って、税金と保険で違うんですか?

ひと言でいうと

健康保険の扶養は、ご家族のこれから1年間の収入の見込みが原則130万円未満なら対象になる可能性があります。扶養に入れる事情ができてから5日以内に届け出る必要があるので、すぐに【提出先】に連絡してください。

「扶養に入れたい」という相談には、健康保険の扶養と所得税の扶養の2つが混ざっています。基準の金額も出す書類も違うので、どちらの話かを分けて答えます。健康保険の届出には5日以内という期限があるので、相談を受けたらすぐ動きます。

家族を健康保険の扶養に入れられるかの判断
家族の年収の見込みが130万円未満か
  • はい
    同居しているか、または仕送りの条件を満たすか
    • はい
      健康保険被扶養者(異動)届を5日以内に提出するよう案内する
    • いいえ
      仕送り額を確認してから届出の可否を伝える
  • いいえ
    健康保険の扶養には入れないと伝える

出典:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」

答えるときに押さえること

1健康保険の扶養と税の扶養は、別々に判定します

健康保険の扶養(被扶養者)は、家族が保険料を払わずに社員の健康保険に入れる仕組みです。配偶者が20歳以上60歳未満で厚生年金に加入していなければ、原則として国民年金の第3号被保険者にもなります。税の扶養は、所得税の扶養控除や配偶者控除などを受けるための仕組みです。

判定の基準が違うので、「税の扶養には入るが、健康保険の扶養には入れない」ということが起こります。相談を受けたら、どちらの話か、両方なのかを最初に確かめます。

2健康保険の扶養は、これから1年間の収入の見込みで判定します

協会けんぽの場合、家族が日本国内に住んでいて、主に社員の収入で生活していることが前提です。収入の条件は、年間収入の見込みが130万円未満(60歳以上か障害のある人は180万円未満)であることです。あわせて、同居なら社員の収入の半分未満、別居なら社員からの仕送り額未満であることも求められます。2025年10月1日以降に認定を受ける19歳以上23歳未満の家族(配偶者を除く)は、150万円未満です。

年間収入は過去の実績ではなく、認定を受ける時点からの見込みです。給与なら月額108,333円以下が目安で、失業給付、公的年金、傷病手当金や出産手当金も収入に含めます。2026年4月1日以降は、給与収入だけの家族なら、労働条件通知書などに書かれた賃金から見込んだ年収で判定する方法もできました。

配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母などは別居でも対象で、それ以外の3親等内の親族は同居していることが条件です。

3届出は5日以内なので、続柄と収入の書類を早めに集めます

家族を扶養に入れるときは、社員が会社を通して「健康保険被扶養者(異動)届」を日本年金機構に出します。期限は事実が発生してから5日以内です。家族の収入を確かめる書類も添えます。退職して収入の条件を満たすようになった家族なら、退職証明書か離職票の写しです。年金を受け取っている家族なら、年金額の改定通知書の写しなどです。税の控除対象配偶者や扶養親族になっている家族は、会社の証明があれば収入の書類を省けます。

続柄は戸籍謄本か住民票で確かめます。社員と家族の両方のマイナンバーを届書に書き、会社が続柄を確認したことを記載すれば、添付を省けます。別居の家族には仕送りの額がわかる書類も要ります(16歳未満や学生は不要)。健康保険組合に加入している会社は、組合の基準と必要書類に従います。

4扶養から外れるときも、届出が必要です

扶養に入れる手続きに比べて、外す手続きは忘れられがちです。家族が就職して勤務先の健康保険に入った、収入が基準以上になる見込みになった、後期高齢者医療制度に加入した、離婚した、同居が条件の親族が別居した、といった場合に届け出ます。

扶養から外れた配偶者が厚生年金などに入らない場合は、本人が国民年金の第1号被保険者への加入手続きをします。資格確認書などが交付されていれば、回収して届書に添えます。社員には、家族の就職や収入の変化があったら連絡してもらうよう、扶養に入れるときに伝えておきます。

5税の扶養は、2026年分から所得の基準が上がりました

所得税の扶養控除の対象は、合計所得金額が一定以下の親族です。令和8年度税制改正で基準が上がり、2026年分と2027年分の扶養親族は、合計所得金額62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)です。

19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額が62万円を超え123万円以下の場合は、扶養控除ではなく特定親族特別控除の対象です。給与だけなら、年収136万円超197万円以下にあたります。年の途中で扶養する家族が増えたら、「扶養控除等(異動)申告書」を出し直してもらいます。2026年分は、この改正で新たに扶養の対象になった家族がいる場合も、申告書の提出が必要です。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 扶養の相談を受ける窓口と、社員に最初に出してもらう書類
  • 健康保険が協会けんぽか健康保険組合か(組合の場合は認定の基準と必要書類)
  • 家族手当など会社独自の手当の支給基準(健康保険や税の扶養と同じ基準か)
  • マイナンバーによる続柄の確認を会社で行うか
  • 家族の就職や収入の変化を社員に連絡してもらう方法

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 家族を扶養に入れたいときは、どうすればいいですか?

A. 健康保険の扶養は、ご家族のこれから1年間の収入の見込みが130万円未満(60歳以上か障害のある人は180万円未満、19歳以上23歳未満の人は150万円未満)で、主にあなたの収入で生活している場合に対象になります。同居か別居かによる条件もあります。退職、結婚、出生など扶養に入れる事情ができてから5日以内に届け出る必要があるので、すぐに【提出先】に連絡してください。【提出書類】と、ご家族の収入がわかる書類(退職証明書、離職票の写し、年金額の通知書の写しなど)を用意してください。所得税の扶養は基準が別で、【扶養控除等申告書の提出方法】で届け出ます。【健康保険組合名】に加入している場合は、組合の基準で判定します。扶養に入ったご家族が就職したときや、収入が増えそうなときも【提出先】に連絡してください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 健康保険の扶養の収入は、去年の実績ではなく、これから1年間の見込みで判定します
  • 扶養に入った日から60日以上さかのぼって届け出ると、扶養の事実を確かめる書類を追加で求められます
  • 失業給付や公的年金、傷病手当金も、健康保険の扶養の判定では収入に含めます

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。