産休や育休を取りたいと相談されたら

社員からはこう聞かれます
- 妊娠がわかりました。産休っていつから取れますか?
- 来年子どもが生まれる予定です。男性でも育休は取れますか?
- 育休中はお給料が出ないんですよね?生活費が心配です
ひと言でいうと
産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から取れ、育児休業は原則として子どもが1歳になるまで、男性も取れます。制度とお金のことを説明しますので、面談の日程を決めさせてください。
妊娠や出産の予定を伝えてくる社員は、いつから休めるかと、休んでいる間の収入を心配しています。職場に迷惑をかけないかという気がかりもあります。会社には制度を個別に説明する義務があるので、相談を受けたら、まず面談の場を設けます。
- 1社員妊娠・出産を会社に申し出る
- 2会社制度を個別に説明し意向を確認する
- 3社員産休・育休の申出書を提出する育休は開始1か月前まで
- 4会社社会保険料の免除を届け出る
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
答えるときに押さえること
1妊娠や出産の申出を受けたら、個別に説明して意向を確認します
社員が本人または配偶者の妊娠や出産を申し出たら、会社は育児休業などの制度を個別に知らせなければなりません。あわせて、取得するかどうかの意向も確認します(育児・介護休業法21条)。方法は面談(オンラインも可)か書面で、社員が希望すればFAXやメールも使えます。取得を控えさせるような伝え方は認められません。
2025年10月からは、この申出のときと、子どもが3歳になる前の時期に、仕事と育児の両立についての希望を個別に聞くことも義務になりました。聞くのは、勤務時間帯、勤務地、両立支援の制度を使う期間などで、会社は聞いた希望に配慮します。相談を受けた担当者は、説明資料を用意して面談の日程を決めます。
2産休は労働基準法、育休は育児・介護休業法で決まっています
産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から、本人が請求すれば取れます。産後8週間は、会社は働かせてはいけません。ただし産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務なら働けます(労働基準法65条)。
育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで、2回に分けて取れます。保育所に申し込んだのに入れないなどの事情があれば1歳6か月まで、さらに2歳まで延ばせます。これとは別に、子どもの出生後8週間以内に最大28日の産後パパ育休(出生時育児休業)を、2回まで分けて取れます。申出の期限は原則として、育児休業が開始予定日の1か月前まで、産後パパ育休が2週間前までです。
3休業中の収入は、健康保険と雇用保険の給付で支えます
休業中に会社が給与を払うかは、会社の規程によります。給与が出ない期間には、公的な給付があります。
産前産後休業中は、健康保険から出産手当金が出ます。協会けんぽの場合、1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。出産費用には出産育児一時金があり、産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週以降に出産すると、1児につき50万円です。
育児休業中は、雇用保険から育児休業給付金が出ます。休業開始から180日までは休業前の賃金の67%、それ以降は50%で、上限額があります。2025年4月には出生後休業支援給付金ができました。子どもの出生後の一定期間に本人と配偶者がそれぞれ通算14日以上休むなどの要件を満たすと、13%が最大28日分上乗せされます。配偶者が産後休業中や自営業などの場合は、配偶者の休業は要件になりません。
4社会保険料の免除は、会社が申出書を出して始まります
産前産後休業の期間と、3歳未満の子を育てるための育児休業の期間は、健康保険と厚生年金保険の保険料が、本人の分も会社の分も免除されます。免除を受けるには、会社が日本年金機構に「産前産後休業取得者申出書」や「育児休業等取得者申出書」を出します。免除された期間も、将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。
予定より早く生まれた、復帰を早めたなど、休業の期間が変わったときは変更や終了の届出も要ります。担当者の手続きの一覧に入れておかないと、休業中の社員から保険料を引き続けてしまうことがあります。
5復帰した後に使える制度も、最初の面談で伝えます
休業に入る前の社員は、復帰後に仕事と育児を両立できるかも気にしています。3歳未満の子を育てる社員には、短時間勤務の制度があります。2025年4月からは、小学校に入る前の子を育てる社員が、請求すれば残業を免除されるようになりました。子の看護等休暇は、小学校3年生の修了まで、年5日(子どもが2人以上なら10日)取れます。
2025年10月からは、3歳から小学校に入るまでの子を育てる社員向けに、会社が柔軟な働き方の措置を2つ以上選んで用意する義務も始まりました。選べるのは、始業時刻の変更、月10日以上のテレワーク、保育施設の設置運営、年10日以上の養育両立支援休暇、短時間勤務の5つです。自社が選んだ措置を面談の資料に入れておきます。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 妊娠・出産の申出を受ける窓口と、面談を担当する部署
- 産休・育休の申出書の書式と提出先
- 休業中の給与や賞与の扱い
- 産後パパ育休の申出期限を2週間より前にする労使協定の有無
- 健康保険が協会けんぽか健康保険組合か(組合の場合は独自の給付の有無)
- 3歳から小学校に入るまでの子について、会社が選んだ柔軟な働き方の措置(2つ以上)
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 産休や育休を取りたいときは、どうすればいいですか?
A. まず【相談窓口】に、出産予定日と休みたい期間の希望を伝えてください。【担当部署】から面談の日程を連絡し、制度、手続き、休業中に受け取れるお金を説明します。産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から取れ、産後は8週間休みます。育児休業は原則として子どもが1歳になるまで取れ、男性も対象です。申出は【書式名】で【提出先】に出してください。期限は、育児休業が開始予定日の1か月前まで、産後パパ育休が【2週間前】までです。休業中は、健康保険の出産手当金や雇用保険の育児休業給付金を受け取れます。申請の方法は面談で説明します。
続けて聞かれやすいこと
契約社員でも育休は取れますか?
取れます。ただし、子どもが1歳6か月になる日までに労働契約が終わり、更新されないことが明らかな場合は対象外です。
保育園に入れなかったら、育休を延ばせますか?
保育所に申し込んだのに入れないなどの事情があれば、子どもが1歳6か月になるまで延ばせます。1歳6か月の時点でも同じ事情があれば、2歳まで延ばせます。育児休業給付金も延ばすには、子どもが1歳(または1歳6か月)になる日までに市区町村へ保育所の利用を申し込んでおく必要があります。申し込みを忘れていた場合は、原則として延長が認められません。
夫婦で育休を取ると、給付金は増えますか?
子どもの出生後の一定期間に、夫婦それぞれが通算14日以上休むなどの要件を満たすと、出生後休業支援給付金が上乗せされます。額は休業前の賃金の13%で、最大28日分です。
答えるときに間違えやすいこと
- 産後8週間は、本人が希望しても働かせられません(6週間を過ぎて医師が認めた業務を除きます)
- 社会保険料の免除は自動では始まらないので、休業ごとに申出書を出します
- 妊娠の報告を受けた時点で、休業を取るかどうかを聞く前に、制度の個別の説明と意向確認が必要です