解説記事

ITが苦手な社員でも迷わない、社内問い合わせの受け方

ITが苦手な社員の問い合わせは、普段使っているチャットで聞けるようにし、分類を選ばせず、答えは画面の文字と押す順番まで書くと1回で終わりやすくなります。言い換え表と文例付き。

2026年9月14日公開

年配の社員がスマホを両手で持ち、隣の担当者が画面を指して教えている

ITが苦手な社員から問い合わせを受けるときは、新しい仕組みを覚えてもらうより、社員が毎日使っているチャットや電話で聞けるようにします。そのうえで、問い合わせの分類を社員に選ばせず、答えは「画面のどこに何と書いてあるボタンを押すか」まで書きます。聞く側の手間を減らし、1回の返事で終わる答え方にすると、社員が迷って何度も聞き直すことが減ります。

ITが苦手な社員がつまずくところ

ノートPCの前で首をかしげる社員

問い合わせの仕組みを作る側が思っているより、手前でつまずく社員は多くいます。よくあるのは次のような場面です。

  • 社内ポータルや問い合わせフォームにログインできない。パスワードを覚えていない
  • フォームの「カテゴリ」欄で、自分の質問がどれに当たるのかわからない
  • 返ってきた答えに「ブラウザ」「キャッシュ」など知らない言葉が入っていて、続きを読むのをやめてしまう
  • 会社のパソコンを持っておらず、スマホしか使えない
  • 「こんなことを聞いていいのか」と思って、聞くのをためらう

最後の点は見落とされがちです。ITが苦手な社員ほど、同僚に聞いて済ませたり、わからないまま放っておいたりします。締め切りのある手続きだと、あとで担当者が個別に追いかけることになります。

新しい問い合わせの仕組みを検討すると、「うちの社員はITに詳しくないから使われないのでは」という心配がよく出ます。ただ、使われない原因の多くは社員の知識ではなく、入口の選び方と答え方にあります。

入口は、社員が毎日開いているものにする

新しいアプリや問い合わせ専用のサイトを用意すると、社員はインストールし、ログインし、場所を覚える必要があります。ITが苦手な社員はここで止まります。

普段の連絡に使っているチャットがあれば、その中で聞けるようにします。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chat などです。社員が新しく覚えるのは「どこに送るか」だけになります。

入口 社員が新しく覚えること 向いている社員
普段使っているチャット 窓口の宛先 毎日チャットで連絡している社員
電話 窓口の電話番号 文字を打つのが苦手な社員、急ぎの用件
問い合わせフォーム 開き方、ログイン、項目の書き方 書類の添付が必要な手続き
新しいアプリ インストール、ログイン、使い方 ITに慣れている社員

現場の社員が会社のパソコンを持っていない場合は、スマホのチャットアプリで聞けるかを先に確認します。スマホで使えない入口は、その社員にとって存在しないのと同じです。

電話は残しておきます。チャットで3往復してもうまくいかないときは、担当者から「お電話してもいいですか」と切り替えるほうが早く終わります。

聞き方を社員に決めさせない

問い合わせフォームの必須項目が多いと、ITが苦手な社員は書くのをやめます。「カテゴリ」「急ぎかどうか」「対象システム」を選ばせるのはやめて、分類は受け取った担当者がします。

窓口の案内文にも、書き方の決まりを並べないようにします。

総務・人事・経理・パソコンのことでわからないことがあれば、ここに一言で書いてください。 「パスワードを忘れた」「印刷できない」だけでも大丈夫です。 画面の様子は、スマホで写真を撮って送ってもらえると早く答えられます。

スクリーンショットの撮り方を知らない社員もいます。「画面をスマホで撮って送ってください」と書くほうが伝わります。写真にパスワードや個人の情報が写っていないかは、担当者側でも確認します。

窓口の案内で、やめることとこうすること
やめることこうすること
分類社員に「カテゴリ」「急ぎかどうか」を選ばせる受け取った担当者が分類する
書き方書き方の決まりを並べる一言で書いてもらう
画面の様子スクリーンショットを送ってもらう画面をスマホで撮って送ってもらう

1回の返事で終わる答え方

スマホの画面を見ながら、1つずつ操作を進める社員

ITが苦手な社員への答えは、次の4つを守ると聞き直しが減ります。

  1. 1通には1つの手順だけを書く。別の手順が必要なら、終わったのを確認してから送る
  2. 手順には番号を付け、1行に1つの操作を書く
  3. 画面に出ている文字を「」で囲んで、そのまま書く
  4. 最後に「できたか、できなかったか、一言返してください」と添える

Wi-Fiにつながらないと言われたときの答えで比べてみます。

書き直す前 ネットワーク設定からSSIDを選び直して、それでもだめならPCを再起動してください。

書き直した後 次の順番で試してください。

  1. 画面の右下にある、扇の形のマークを押します
  2. 一覧から「【社内Wi-Fiの名前】」を押します
  3. 「接続」を押します つながったかどうか、一言返してください。つながらなければ次の方法をお送りします。

スマホで読む社員には、1通の長さを画面に収まる程度にします。スクロールしないと続きが見えない長さだと、最初の数行だけ読んで操作を始めてしまい、途中の手順を飛ばします。手順が5つを超えるなら、前半と後半の2通に分け、前半が終わったと返事をもらってから後半を送ります。

チャットで手順を案内する流れ
  1. 1担当者1通に1つの手順を番号付きで送る
  2. 2社員読みながらそのまま操作する
  3. 3社員できたか、できなかったか一言返す
  4. 4担当者終わったのを確認してから次の手順を送る

書き直した後の文は長く見えますが、社員は読みながらそのまま操作できます。書き直す前の文だと、「SSIDとは何か」を聞き返されて、結局やりとりが増えます。症状ごとの答え方はWi-Fiにつながらないと言われたらプリンターで印刷できないと言われたらにまとめています。

電話で受けたときの答え方

電話では、担当者から社員の画面が見えません。「右上のボタンを押してください」と言っても、社員が見ている画面が違えば話がかみ合いません。

電話で手順を案内するときは、先に社員に画面の文字を読み上げてもらいます。

いま画面の一番上に、何と書いてありますか。 青い四角のボタンがあれば、その中の文字を読んでもらえますか。

社員が読み上げた文字を使って、「では『保存』と書いてあるところを押してください」と案内します。「右クリック」「タブ」のような言葉は使わず、「マウスの右側のボタン」「画面の上に並んでいる見出し」のように言います。

電話を切ったあとは、話した手順をチャットで送っておきます。電話の内容は、社員があとで思い出せないことがよくあります。

電話で手順を案内する流れ
  1. 1担当者画面の文字を読み上げてもらう
  2. 2社員画面に書いてある文字を読み上げる
  3. 3担当者読み上げた文字を使って押す場所を案内する
  4. 4担当者電話を切ったら、話した手順をチャットで送る

言い換えておくと伝わりやすい言葉

担当者が普段使っている言葉でも、ITが苦手な社員には通じないことがあります。窓口の担当者で言い換えを揃えておくと、誰が答えても同じ言葉になります。

つい使ってしまう言葉 言い換えの例
ブラウザ インターネットを見るアプリ(EdgeやChromeなど)
ログイン 名前とパスワードを入れて画面を開くこと
再起動 一度電源を切って、もう一度つけること
アカウント 会社から配られた名前とパスワードの組み合わせ
URLを開く 青い文字の部分を押す
ダウンロード ファイルを自分のパソコンに保存すること
申請 【勤怠システム名】の「申請」ボタンから届け出ること

表の一番下のように、社内の手続きの言葉も言い換えの対象です。「申請してください」だけでは、どの画面で何をするのかわからない社員がいます。有給休暇の申請方法を聞かれたらのように、システム名と押すボタンまで書きます。

担当者の返し方で気をつけること

穏やかな表情で社員への返事を書く担当者

「マニュアルに書いてあります」とだけ返すのはやめます。ITが苦手な社員は、マニュアルを開く段階でつまずいていることが多いからです。リンクを付けるときは、該当する手順も本文に貼ります。

同じ社員から同じ質問が何度も来ても、責める言い方はしません。「前にもお伝えしましたが」と書かれた社員は、次から聞きにくくなります。答えるたびに手順を短く貼り直し、2回目以降は「保存しておくと次から使えます」と添えます。

パスワードの問い合わせは特に件数が多く、社員も慌てていることがよくあります。本人確認の手順を決めたうえで、パスワードを忘れたと言われたらの文例を使うと、落ち着いて対応できます。

拠点に社員が集まる日があれば、窓口への聞き方をその場で一緒に試してもらうのも有効です。一度自分で送ってみた社員は、次に困ったときも同じ場所に聞いてくれます。

聞き方を覚えてもらうのが難しい社員には、AIが一次対応する仕組みも選べます。株式会社AutomagicaのカリスマAIは、社員がチャットで送った問い合わせにAIが回答し、答えられないときは担当者につなぎます。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chatに対応しており、フリープランは月額0円で月50回まで使えます。