経理

小口現金の精算書の書き方を聞かれたら

2026年10月10日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 切手を買ってきたんですが、現金で返してもらうには何を出せばいいですか?
  • 精算書って何を書くんですか。レシートは貼るだけでいいですか?
  • 300円の立て替えでも、精算書は要りますか?

ひと言でいうと

小口現金の精算書には、支払った日付、支払先の名称、買ったものの内容、金額、支払った社員の名前を書いてもらい、レシートや領収書を添えてもらいます。【精算書の書式】と【受付の時間】は会社ごとに違うので、出す前に確かめてもらいます。

小口現金の精算書の書き方は、入社して最初に少額の買い物を頼まれた社員から聞かれます。社員が知りたいのは、何を書けば差し戻されないか、レシートをどう添えるか、いつ現金を受け取れるかです。金額が小さいので、書類を出すこと自体を面倒に感じていることもあります。

小口現金の精算の流れ
  1. 1社員レシートを受け取る支払ったとき
  2. 2社員精算書に日付・支払先・内容・金額・名前を書く
  3. 3社員レシートを添えて経理に出す受付の時間内
  4. 4経理記載とレシートを照らし合わせる
  5. 5経理現金を渡し、受領のサインをもらう
  6. 6経理現金出納帳に書き、残高を合わせる

答えるときに押さえること

1精算書に書いてもらう項目は、帳簿に残す項目から決まります

消費税の仕入税額控除を受けるには、法定事項を記載した帳簿と請求書等の両方を保存することが要件になっています。帳簿に書くのは、課税仕入れの相手方の氏名または名称、課税仕入れを行った年月日、課税仕入れに係る資産または役務の内容、支払対価の額の4つです。精算書にこの4つがそろっていれば、経理はそのまま帳簿に起こせます。

内容の欄が「雑費」「備品」だけだと、何を買ったのかが帳簿に残りません。「来客用のペットボトルのお茶6本」のように品目で書いてもらいます。飲食料品のように軽減税率の対象になるものを買ったときは、帳簿にその旨も書く必要があるので、同じ精算書に食べ物と文房具を混ぜないよう頼んでおきます。

2レシートは宛名がなくても使えます

小売業のように不特定かつ多数の人に売る事業では、適格簡易請求書を交付できます。記載事項は、登録番号、取引の年月日、内容、税率ごとに区分した合計額、消費税額等または適用税率で、宛名は入りません。コンビニやスーパーのレシートはそのまま添えてよく、レジで手書きの領収書を書いてもらい直す必要はありません。

登録番号が印字されていないレシートは、適格請求書等に当たらないので、仕入税額控除の扱いが変わります。社員に書き直してもらうことはできないので、経理で区別して処理します。感熱紙のレシートは時間がたつと字が消えるため、提出のときにコピーを取るか、画像で出す運用にしておきます。

3領収書が出ない支払いは、何を書いてもらうかを決めておきます

領収書の交付を受けることが難しい取引には、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるものがあります。主な対象は、税込3万円未満の公共交通機関による旅客の運送と、税込3万円未満の自動販売機や自動サービス機からの購入です。ほかに、郵便ポストに差し出す郵便で切手類だけを対価とするものと、社員に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当が入ります。

この場合の帳簿には、特例に当たる旨と、相手方の住所または所在地(一定の課税仕入れでは記載が不要)を書くことになります。精算書の側で乗った区間や自動販売機の設置場所を書いてもらうと、経理が後から埋める手間がなくなります。

基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の会社には特例があります。2023年10月1日から2029年9月30日までに行った税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。自社が対象かは経理で確かめます。対象であっても、レシートを添えてもらう運用はそのまま続けるほうが、後から支払いの中身を確かめられます。

4現金を渡すときに、受け取った記録を残します

小口現金は、使った分だけ補充して手元の残高を一定に戻す方法で回している会社が多いので、記録が1つ抜けると残高が合わなくなります。現金を渡すときに精算書へ受領のサインか押印をもらい、現金出納帳に日付、相手、内容、金額、残高を書きます。

金庫の現金を数えて出納帳の残高と合わせる作業は、1日の終わりか週に1回と決めて続けます。合わないときにたどれるのは、記録が残っている範囲だけです。現金を渡せる時間を決めて社内に知らせておくと、担当者が席にいない時間に来て渡せないことが減ります。

5返事は、書く項目と出し方の2つに絞ります

書き方を聞かれたときに税法の説明から始めると、返事が長くなって読まれません。「日付、支払先、内容、金額、お名前の5つを書いて、レシートを一緒に出してください」と項目だけ先に伝えます。理由を聞かれたときに、帳簿の記載事項の話をします。

書式のファイルの置き場所、受付の時間、1件あたりの上限額を同じ返信に並べておくと、続きの質問が来ません。上限を超える支払いは、小口現金ではなく会社からの振込や会社のクレジットカードに回す案内も添えます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 精算書の書式と、ファイルの置き場所
  • 小口現金で精算できる1件あたりの上限額
  • 精算書の受付の曜日と時間、現金を渡せる時間
  • 上長の承認が必要かどうか
  • レシートを原紙で出すか、画像で出すか
  • 現金を数えて残高を合わせる頻度と担当者
  • 小口現金を使わず、振込や会社のクレジットカードに回す支払いの線引き

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 小口現金で立て替えた分を精算するとき、精算書には何を書けばいいですか?

A. 精算書には、支払った日付、支払先の名称、買ったものの内容、金額、お名前の5つを書いてください。内容は「雑費」ではなく「来客用のお茶6本」のように品目で書いてください。お茶やお菓子などの飲食料品は、消費税の税率が他のものと違うことがあるので、同じ行にまとめないでください。

書式は【精算書の置き場所】にあります。記入した精算書とレシートを【提出先】へ【受付の時間】に出してください。現金はその場でお渡しし、精算書に受け取りのサインをいただきます。

1件【上限額】を超える支払いは、小口現金ではなく【振込やカードの手続き】で進めますので、買う前にご相談ください。電車代やバス代は領収書がなくても精算できます。乗った日、区間、金額を書いてください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 「3万円未満なら領収書は要らない」とまとめて答えないようにします(対象は公共交通機関や自動販売機などに限られ、店で買った備品は入りません)
  • 税込1万円未満の少額特例は、会社の課税売上高と2023年10月1日から2029年9月30日までという期間で決まるので、自社が対象かを確かめてから社員に案内します
  • 精算書とレシートは、法人税では確定申告書の提出期限の翌日から7年間(欠損金額が生じた事業年度は10年間)保存するので、提出された順にまとめておきます
  • 内容が「雑費」だけの精算書は、帳簿に書く内容が残らないので、受け取る前に品目を聞きます
  • 現金を渡したのに精算書を回収し忘れると、残高が合わない原因をたどれなくなるので、現金と書類は同時に引き換えます

出典

2026年10月10日時点で内容を確認しています。