経理

領収書の宛名を何と書いてもらえばいいか聞かれたら

2026年9月18日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 領収書の宛名は何と書いてもらえばいいですか?
  • お店で「上様でいいですか」と聞かれたんですが、それで大丈夫ですか?
  • 宛名が空欄のままもらってしまいました。自分で会社名を書いていいですか?

ひと言でいうと

消費税の仕入税額控除に使う領収書は、原則として会社の正式名称を宛名に書いてもらいます。ただし、小売店や飲食店、タクシーが出すレシートは、宛名がなくても、「上様」でもかまいません。社員には【会社の正式名称】をそのまま伝えてもらいます。

社員が知りたいのは、お店のレジで何と言えばいいかです。宛名を間違えると精算できないのではないか、という心配もあります。経理としては、消費税の控除に宛名が要る場合と要らない場合を分けて、社員にはひと言で返せる形にしておきます。

領収書の宛名をどう扱うか
宛名に会社の正式名称が書かれているか
  • はい
    そのまま提出してもらう
  • いいえ
    小売店・飲食店・タクシーなど、適格簡易請求書を出せるお店か
    • はい
      宛名はなくてよいと伝え、そのまま提出してもらう
    • いいえ
      お店に正しい宛名で出し直してもらうよう案内する

出典:国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A 問58-2 手書きの領収書による適格簡易請求書の交付」

答えるときに押さえること

1宛名は会社の正式名称で書いてもらう

消費税の仕入税額控除に使う適格請求書(インボイス)には、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称を書くことが決まっています。領収書の宛名に入るのは、立て替えた社員の名前ではなく、会社の名前です。

社員には、会社の正式名称をそのまま伝えてもらいます。「株式会社」を「(株)」と略したり、通称で書いてもらったりすると、あとで確認の手間が増えます。前株か後株か、支店名や事業所名まで入れるかは会社ごとに違うので、聞かれたらすぐ返せるように、正式名称を控えておきます。

同じ質問が続くようなら、正式名称をそのまま読み上げられる形で、社内FAQや経費精算の画面に載せておきます。「お店にはこうお伝えください」と1行あるだけで、レジの前で迷う社員は減ります。

2レシートに宛名がなくても、そのまま出してもらってよい

不特定かつ多数の人を相手に商売をするお店は、適格請求書に代えて、記載事項を簡単にした適格簡易請求書を交付できます。対象になるのは、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業などです。適格簡易請求書には、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称、つまり宛名の記載が要りません。国税庁のQ&Aは、手書きの領収書でも宛名は省略でき、「上様」と書かれていてもよいとしています。

スーパーで買った文房具のレシート、飲食店の領収書、タクシーの領収書は、宛名がなくてもそのまま保存できます。社員から「宛名を書いてもらえませんでした」と相談されたら、どんなお店かを聞いて、この範囲なら「そのままで大丈夫です」と返します。

一方、事務用品の卸売やシステムの保守のように、相手を確かめて個別に取引する会社からは、宛名の入った請求書や領収書を受け取ります。

3宛名が社員の名前になっていたら、書き直させない

社員が立て替えて買ったとき、レシートの宛名に社員の名前が入っていることがあります。国税庁のQ&Aでは、控除を受ける会社以外の名前が宛名に書かれていると、そのままでは仕入税額控除に使えないとしています。

ただし、その社員が会社に所属していることがわかる社員名簿などをあわせて保存していれば、控除して差し支えないとされています。名簿で特定できないときは、社員が作った立替金精算書も受け取って保存します。名簿を保存している会社なら、社員には「宛名がご自分の名前でも、そのまま出してください」と伝えて差し支えありません。

社員が気をきかせて会社名に書き直してしまうこともあります。手で直した宛名は、お店が書いたものではありません。書き直さずに出すよう、あらかじめ伝えておきます。

4空欄の宛名を社員が自分で書き足すことはできない

宛名が空欄のまま渡されると、社員が気をきかせて会社名を書き込むことがあります。国税庁のQ&Aでは、受け取った側が記載事項の誤りを自分で追記したり修正したりすることは原則としてできないとしています。正しくは、お店に修正した領収書を出し直してもらいます。

もう一つの方法として、買手が作った仕入明細書などに修正した内容を書き、お店の確認を受けたうえで保存するやり方も示されています。これは社員に頼むことではないので、経理で処理します。社員には「空欄でも書き足さずに出してください」と伝えておくと、あとの確認が楽になります。

51万円未満の買い物は、宛名を確かめなくてよい会社もある

基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の会社には、少額特例があります。2029年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れなら、一定の事項を書いた帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます。宛名を確かめる場面は、その分だけ減ります。

ただし、会社の経費として支払った記録は別に必要なので、領収書そのものは社内の規程どおりに提出してもらいます。自社が少額特例の対象になるかは、経理の責任者に確認しておきます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 領収書に書いてもらう会社の正式名称(支店名や事業所名まで入れるか)
  • 宛名のないレシートを認める金額の上限
  • 宛名が社員名の領収書に立替金精算書を求めるか
  • 立替払いの確認に使う社員名簿の保管場所
  • 自社が少額特例の対象になるか

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 領収書の宛名は何と書いてもらえばいいですか?

A. お店には【会社の正式名称】とお伝えください。「株式会社」を「(株)」と略さず、そのままの表記でお願いします。

スーパー、飲食店、タクシーなど、レシートを広く発行するお店では、宛名がなくても、「上様」と書かれていてもかまいません。そのまま【経費精算システム名】に添付してください。

宛名が空欄だったり、ご自分の名前が書かれていたりしても、書き足したり書き直したりしないでください。そのまま提出していただければ、経理で確認します。わからないことは【経理担当の連絡先】までお問い合わせください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 宛名のないレシートを一律に差し戻してしまう
  • 宛名が空欄の領収書に、社員が会社名を書き足したまま受け取ってしまう
  • 宛名が社員名の領収書を、社員に書き直させてしまう

出典

2026年9月18日時点で内容を確認しています。