経理

少額の備品を自分で買ってよいか聞かれたら

2026年10月11日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 延長ケーブルが必要なんですが、近くの家電量販店で買って経費にしていいですか?
  • 2,000円くらいのものなら、いちいち申請しなくても大丈夫ですよね?
  • 自分で買う場合、レシートは宛名を書いてもらったほうがいいですか?

ひと言でいうと

社員が自分で立て替えて備品を買えるかは会社の決めごとで、多くの会社は上限額と、先に承認が要る品目を決めています。【上限額】を超えるものは先に申請してもらい、認める範囲ならレシートを受け取って【精算の締め日】までに精算してもらいます。

社員は、申請するほどの金額ではないと思いながら、あとで精算を断られることを心配しています。経理としては、立て替えで買ってよい範囲と、精算に必要な書類を先に決めておけば、この質問にその場で答えられます。

自分で買ってよいかの判断
会社が請求書払いや法人カードで買えるか
  • はい
    その経路で発注するよう案内する
  • いいえ
    金額が立て替えの上限内で、申請が要らない品目か
    • はい
      1点または1組で10万円未満か
      • はい
        レシートを受け取り精算するよう案内する
      • いいえ
        買う前に経理へ相談するよう案内する
    • いいえ
      買う前に申請するよう案内する

出典:国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」

答えるときに押さえること

1上限額と、先に承認が要る品目を決めておく

立て替えで買ってよいかは、金額と品目の2つで線を引くと答えやすくなります。「税込3,000円まではその場で買ってよい」「それを超えるものは先に申請」のように決めます。金額が小さくても、パソコンにつなぐ機器や会社の印鑑のように、情シスや総務の確認が要るものは品目で分けます。

会社が請求書払いで買える取引先や、法人カードを貸し出す仕組みがあるなら、そちらを先に案内します。社員が立て替えると、精算の手間と振込までの時間がかかります。同じものを各自がばらばらに買って、単価が上がることもあります。社内FAQには、金額の線と、申請が要る品目の一覧を並べて載せます。

210万円未満のものは、買った年度の費用にできる

税務上、取得価額が10万円未満の備品や、使用可能期間が1年未満のものは、事業に使い始めた事業年度に全額を費用として処理できます。国税庁のタックスアンサーNo.5403は、この判定を「通常1単位として取引されるその単位ごと」に行うとしています。応接セットはテーブルと椅子の1組で、カーテンは部屋ごとの合計額で10万円未満かを見ます。

社員が安いものだと思って買っても、1組で機能するものは合計で10万円を超えることがあります。取得価額が20万円未満のものは、一括償却資産として3年で償却する方法も選べます。10万円を超えそうな買い物は、買う前に経理へ相談してもらうよう伝えておきます。

3レシートはそのまま出してもらい、宛名は求めない

小売業や飲食店業、タクシーなどを営む事業者が交付する書類は、適格請求書より記載の少ない形式が認められています。国税庁のタックスアンサーNo.6625では、これらの事業者が交付する書類について、適用税率と消費税額等はどちらか一方の記載があればよいとしています。また、書類を受け取る事業者の名称の記載は不要です。

家電量販店やコンビニのレシートは、宛名がないままでも精算に使えます。レジで「会社名を書いてください」と頼み直す必要はありません。社員に伝えるのは、レシートを捨てずに持ち帰ってもらうことだけです。店名、日付、品目、金額、登録番号が印字されているかは、精算のときに経理が確認します。

4インボイスがないときの処理は、経理の中で判断する

登録番号のないレシートや、レシートが出ない買い物もあります。基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の会社には少額特例があります。2029年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れなら、帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます。相手が適格請求書発行事業者でなくても対象です(国税庁のQ&A問111)。

自社が少額特例の対象かは、経理の責任者に確認しておきます。社員への返事で、消費税の扱いまで説明する必要はありません。レシートを受け取り、何をいくらで買ったかがわかるようにしてもらえば足ります。

5精算の期限と、個人のアカウントで買うときの扱いを決める

立て替えを認めるときは、いつまでに精算するかを一緒に伝えます。月をまたぐと、どの月の費用にするかで処理が変わります。領収書やレシートは、法人税の帳簿書類として、確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が必要です(国税庁のタックスアンサーNo.5930)。社員が手元に置いたままにしないよう、提出の期限を決めておきます。

通販で買う場合は、社員個人のアカウントを使ってよいかも決めておきます。個人のアカウントだと、ポイントが本人に付き、保証や交換のやりとりも本人が行うことになります。会社のアカウントで買う経路を用意しておくと、この迷いがなくなります。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 立て替えで買ってよい金額の上限
  • 金額に関係なく先に申請が要る品目(パソコンにつなぐ機器、会社の印鑑など)
  • 会社が直接買える経路(請求書払い、法人カード、購買の担当)
  • 精算の申請方法と締め日
  • 通販で社員個人のアカウントを使ってよいか
  • 10万円を超えるものを買うときの相談先

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 少額の備品を自分で買って、あとで精算してもらえますか?

A. 【税込◯円】までの備品は、立て替えて購入し、あとで精算できます。【◯円】を超えるもの、パソコンにつなぐ機器、【その他の対象品目】は、購入前に【申請方法】で申請してください。

精算は【経費精算システム名】から、【購入した月の締め日】までに申請してください。レシートは必ず受け取り、画像を添えてください。宛名の記載は要らないので、レジで書き直してもらう必要はありません。

通販で買うときは【会社のアカウント/個人のアカウント】を使ってください。1点または1組で10万円を超えそうなときは、買う前に【経理の連絡先】までご相談ください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 立て替えを認める上限額を伝えないまま、精算のときに断ってしまう
  • 宛名のないレシートを受け取れないものとして扱い、社員に書き直しを頼ませる
  • 1組で機能するものを1点ずつで判定し、10万円未満として費用に落としてしまう

出典

2026年10月11日時点で内容を確認しています。