経理

法人カードで経費にならない買い物をしてしまったと言われたら

2026年10月15日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 間違えて会社のカードで自分の買い物をしてしまいました。どうすればいいですか?
  • ネットで注文するとき、支払いのカードを選び間違えました。あとで返せば大丈夫ですか?
  • 少額なので、次に立て替えた経費と相殺してもらえませんか?

ひと言でいうと

法人カードで私的な買い物をしてしまったときは、その金額を会社に返金してもらい、会社の経費には含めずに処理します。気づいた日に【経理の連絡先】へ連絡し、支払った日と店の名前と金額を伝えてください。

社員は、処分されるのではないかと心配しながら連絡してきます。知りたいのは、いくらをどうやって返すのか、いつまでに手続きすればよいのかです。経理が知りたいのは、その支払いを経費と消費税からどう外すかです。

私的な利用に気づいてから処理までの流れ
  1. 1社員気づいた日に経理へ連絡する締め日より前が望ましい
  2. 2社員支払った日・店の名前・金額を伝える
  3. 3経理利用明細で該当の支払いを特定する
  4. 4経理返金の方法と期限を伝える給与控除は労使協定の定めを確認する
  5. 5社員決めた期限までに会社へ返金する
  6. 6経理経費と消費税の集計から外して処理する仕入税額控除の対象にしない

出典:国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」

答えるときに押さえること

1気づいた日に申し出てもらう

法人カードの私的な利用は、気づいた日に申し出てもらうと一番早く終わります。カード会社の締め日より前なら、請求が来る前に処理の準備ができます。社員には、支払った日、店の名前、金額の3つを伝えてもらいます。ネットの買い物なら、注文確認のメールを転送してもらうと金額が確実に分かります。

連絡を受けた経理は、まず金額を確定させます。申し出が遅れるほど、利用明細に理由の分からない支払いが残り、月末の照合が止まります。社内では「間違えたらすぐ連絡する」という扱いにしておくと、社員が支払いを黙って抱え込む事態を防げます。

2返金の方法を決め、経費には混ぜない

返金は、現金で受け取るか、本人の口座から会社の口座へ振り込んでもらうのが基本です。経理の処理では、返金を受けるまでの金額を立替金や未収入金として残し、入金があったときに消します。経費精算システムには登録させません。いったん登録してあとから取り消す運用にすると、取り消し漏れがそのまま経費に残ります。

消費税の集計からも外します。国税庁のタックスアンサーNo.6451は、課税仕入れを「事業者が、事業として」資産の譲り受けや借り受けを行うこと、または役務の提供を受けることだと説明しています。私的な買い物はこれに当たらないため、仕入税額控除の対象になりません。

3給与から差し引くなら、労使協定を確認する

「給料から引いてください」と社員から言われることがあります。賃金から差し引くときは、労働基準法第24条の定めを確認します。同条は賃金の全額払いを定めています。一部を控除して支払えるのは、法令に別段の定めがある場合か、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)との書面による協定がある場合です。

自社の労使協定にこの種の控除の定めがあるかを、人事と一緒に確認します。定めがなければ、本人が同意していても給与からは引かず、現金か振込で返金してもらいます。給与から控除できる会社でも、いつの給与からいくら引くのかを本人に伝えてから処理します。

4返金されないままだと、給与として課税される

返金されないままにすると、税金の扱いが変わります。国税庁のタックスアンサーNo.2508は、個人的債務を免除または負担したことによる経済的利益を現物給与の例に挙げ、現物給与は原則として給与所得の収入金額になるとしています。会社が負担したままにすると、その金額は社員への給与として源泉徴収の対象になります。

相手が役員のときは、法人税の扱いも関わります。タックスアンサーNo.5211は、役員に支給する給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のいずれにも当たらないものの額は損金の額に算入されないとしています。金額が大きいときや役員が関わるときは、顧問税理士に処理を確認してから本人に答えます。

5繰り返すなら、カードの持たせ方を見直す

同じ社員が何度も間違えるときは、本人への注意だけで終わらせません。法人カードと個人のカードの見た目が似ていると、ネットの決済画面で選び間違いが起きます。カードケースを分ける、ブラウザや買い物サイトに保存した個人のカード情報を消す、といった方法で間違いを減らせます。

月に1回、カードを持つ社員に自分の利用明細を確認してもらう運用にすると、間違いが翌月までに見つかります。意図して私的に使っていた場合は、返金とは別に、社内規程に沿った対応を人事と相談します。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 私的な利用に気づいたときの連絡先と、連絡の期限
  • 返金の方法(現金、指定口座への振込、給与からの控除)と返金の期限
  • 給与から控除する場合の労使協定の定めの有無
  • 金額が大きいときや繰り返したときの取り扱いを定めた社内規程
  • 返金を記録しておく台帳と、経理での勘定科目

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 会社の法人カードで、経費にならない買い物をしてしまいました。どうすればいいですか?

A. 気づいたその日に【経理の連絡先】へご連絡ください。支払った日、店の名前、金額をお知らせください。ネットでの買い物は、注文確認のメールを転送してください。

返金は【返金の方法(現金・指定口座への振込)】で、【返金の期限】までにお願いします。経費精算システムには登録しないでください。経理が利用明細から該当の支払いを外し、返金を受けて処理します。

金額が大きい場合や何度も続いた場合は、【社内規程の名称】に沿って対応を相談します。早くご連絡いただくほど、手続きは簡単になります。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 経費精算システムに登録させてから取り消す運用にして、取り消し漏れが経費に残る
  • 返金を受けずに、次の立替経費と相殺して済ませる
  • 労使協定を確認せずに、本人の同意だけで給与から差し引く
  • 消費税の集計から外さず、仕入税額控除に含めたままにする

出典

2026年10月15日時点で内容を確認しています。