経理

取引先へのお中元やお歳暮を経費にできるか聞かれたら

2026年9月25日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • お世話になっている取引先にお歳暮を贈りたいんですが、経費で落とせますか?
  • お中元は商品券でもいいですか?
  • いくらまでなら会社のお金で買えますか?

ひと言でいうと

取引先へのお中元やお歳暮は、仕事のつきあいで贈るものであれば、税務上は交際費等として扱います。会食で使う「1人あたり1万円以下」の基準は飲食費が対象で、贈り物には使えません。1件あたりの上限や承認の要否は会社ごとに違うので、【交際費の申請ルール】に沿って買う前に申請してもらいます。

社員が知りたいのは、会社のお金で買っていいのかと、いくらまでかの2つです。あとから自腹になったら困る、という心配もあります。経理としては、経費として精算できるかと、税務上の交際費になるかを分けたうえで、社員には先に申請してもらう形にしておきます。

取引先に贈るときの費用の分け方
取引先に広く配るカレンダーや手帳などか
  • はい
    交際費等には当たらないと伝える
  • いいえ
    贈る相手は取引先など事業に関係のある人か
    • はい
      交際費等として、買う前の申請を案内する
    • いいえ
      社内の人への金品として、福利厚生費の規程を案内する

出典:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」

答えるときに押さえること

1精算できるかと、税務上の交際費になるかを分けて答える

社員が聞いているのは「経費で落とせますか」ですが、この質問には2つの話が混ざっています。1つは社内の規程で精算を認めるかどうか、もう1つは税務上どの費用に当たるかです。社員に返すのは前者だけで足ります。

国税庁は交際費等を、得意先や仕入先その他事業に関係のある人などに対する接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用としています。お中元やお歳暮はこの「贈答」に当たるので、仕事のつきあいで贈るものなら交際費等として処理します。

社員には「取引先へのお中元やお歳暮は会社の費用で出せます。ただし買う前に申請してください」と返します。買ってから相談されると、上限を超えていても後戻りできません。「買う前」という一言を必ず添えます。

21人あたり1万円以下の基準は、贈り物には使えない

交際費等から除かれる費用として、1人あたり1万円以下の飲食費という基準があります。ただしこれは飲食その他これに類する行為のために要する費用が対象で、品物を贈る費用は含まれません。3,000円のお中元だから交際費にならない、という理屈は通りません。

会食の話と混同されやすいところです。社員から「1万円以下なら大丈夫と聞きました」と言われたら、それは食事のときの話だと伝えます。

金額の大小で税務上の扱いが変わらない以上、1件あたりいくらまでにするかは会社が決めることになります。上限を決めていない会社では、贈り先ごとに金額がばらつきます。よく聞かれるなら、先に目安を決めて社内FAQに書いておきます。

3損金にできる枠は会社全体で決まっている

交際費等は原則として全額が損金不算入ですが、会社の規模に応じた例外があります。期末の資本金の額が1億円以下である等の法人は、損金不算入とする範囲を2つから選べます。接待飲食費の50パーセントを超える部分とするか、800万円に事業年度の月数を掛けて12で割った額(定額控除限度額)を超える部分とするかです。期末の資本金の額が100億円を超える法人は、全額が損金不算入です。

お中元やお歳暮は飲食費ではないので、50パーセントの基準を選んだ年度は、贈答の分がまるごと損金不算入になります。どちらを選ぶかは会社全体の交際費の内訳で決まるので、贈答を増やすときは経理の責任者に一度確認しておきます。

この枠は部署ごとではなく会社全体のものです。社員に説明するときは「会社全体で使える枠があるので、金額と件数を先に把握させてください」と伝えると、申請の必要性を理解してもらえます。

4社名入りのカレンダーや手帳を配るのは交際費に当たらない

カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなど、これらに類する物品を贈るために通常かかる費用は、交際費等から除かれます。不特定多数の人に向けた宣伝の効果をねらった費用も交際費等には含まれず、広告宣伝費になります。

年末に社名入りのカレンダーを配る会社では、この区別が効いてきます。取引先の担当者を選んで贈るお歳暮は交際費等、取引先に広く配るカレンダーは広告宣伝費と分けます。同じ時期に動くので、申請の窓口で取り違えないように、配る相手を書いてもらいます。

「これらに類する物品」の範囲は決まった一覧があるわけではありません。判断に迷うものが出てきたら、経理で預かって顧問税理士に確認します。社員に判断させないほうが早く済みます。

5商品券やギフト券は、品物と消費税の扱いが違う

商品券、ギフト券、旅行券、プリペイドカードを買う取引は、物品切手等の譲渡として消費税が非課税です。仕入れに含まれる消費税額の控除は、券を買ったときではなく、その券を使って実際に商品を購入したりサービスの提供を受けたりした人が、そのときに行います。つまり券を贈った会社の側では、買った時点で仕入税額控除はできません。

品物を買って贈るときは、買ったときに消費税のかかる取引になります。同じ5,000円でも経理の処理が変わるので、申請には品物か商品券かを書いてもらいます。

現金でお祝い金や見舞金を渡す場合は、そもそも対価を得て行う取引ではないため、消費税の課税の対象になりません。取引先への贈り物は、品物、商品券、現金で扱いが3通りに分かれると考えておきます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 1件あたりの上限額と、年間の予算
  • 買う前の申請が要るか、誰の承認が要るか
  • 贈り先を担当者が選ぶか、会社で決めるか
  • 商品券やギフト券を贈ってよいか
  • 社員が立て替えて買ってよいか、会社でまとめて手配するか

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 取引先へのお中元やお歳暮を、会社の経費にできますか?

A. 仕事のつきあいで贈るお中元やお歳暮は、会社の費用として扱えます。買う前に【交際費の申請システム名】から申請し、【承認者】の承認を受けてください。

申請には、贈り先の会社名と担当者名、贈る品物、金額を書いてください。品物か商品券かで経理の処理が変わるので、どちらであるかもあわせて書いてください。1件あたりの目安は【上限額】です。

承認の前に買ってしまうと、精算できないことがあります。社名入りのカレンダーなど、取引先に広く配るものは扱いが違うので、【経理担当の連絡先】までご相談ください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 会食の「1人あたり1万円以下」の基準を、贈り物にも当てはめてしまう
  • 社員が先に買ってしまい、あとから上限を超えていることが分かる
  • 取引先に広く配る社名入りのカレンダーまで、交際費として申請させてしまう

出典

2026年9月25日時点で内容を確認しています。