経理

仕事で使うネットのサービスを会社のお金で契約してよいか聞かれたら

2026年10月13日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 作業が楽になるツールを見つけたんですが、会社の経費で契約できますか?
  • 月1,500円くらいのサービスなんですが、自分のカードで払って精算してもいいですか?
  • 無料で試していたツールが期限切れになりそうです。有料にしていいですか?

ひと言でいうと

月額のネットのサービスを会社の費用で契約するかは会社の決めごとで、多くの会社は契約の名義と、申し込む前の承認の手順を決めています。【申請方法】で、サービス名、使う目的、料金、そのサービスに置く情報を書いて申請してもらい、承認が出るまで自分の名義で契約しないよう伝えます。

ファイル変換、議事録の文字起こし、デザインのツールなど、月額のネットのサービスを使いたいという相談は、現場で仕事が詰まっているときに来ます。社員が気にしているのは、申請が通るかどうかと、間に合うかどうかです。自分のカードで先に払ってしまってよいかも、よく一緒に聞かれます。

会社のお金で契約してよいかの判断
同じ用途のサービスを会社が契約しているか
  • はい
    今あるサービスの権限を渡す
  • いいえ
    顧客の情報や社員の個人情報をそのサービスに置くか
    • はい
      情シスが情報の重要度と契約条件を確認したか
      • はい
        会社名義での契約を申請してもらう
      • いいえ
        情シスの確認を先に依頼する
    • いいえ
      会社名義での契約を申請してもらう

答えるときに押さえること

1同じ用途のサービスを会社が契約していないか先に確かめる

最初に見るのは、やりたいことが今あるサービスでできないかです。会社で契約しているサービスに同じ機能が入っていて、使える権限を渡すだけで済むことがよくあります。

契約しているサービスと、誰が使えるかを一覧にしておくと、この確認が数分で終わります。一覧がない会社では、まず請求書とカードの明細から、毎月払っているサービスを書き出すところから始めます。同じ用途のサービスを部署ごとに別々に契約していると、費用が重なるうえ、退職した人のアカウントが残りやすくなります。

2契約の名義は会社にして、個人のアカウントで始めない

社員が自分のメールアドレスとカードで契約すると、支払いは精算できても、契約そのものは個人に残ります。その人が異動や退職をしたときに、データの取り出しも引き継ぎもできません。解約の連絡も本人しかできません。

申し込みは会社のメールアドレスで行い、支払いは会社のカードか請求書払いにしてもらいます。会社のカードを貸せるかどうかは、カードの貸与の条件で決まります。どうしても個人で立て替える場合は、アカウントの名義を会社のメールアドレスに変えてもらい、支払い方法もあとで会社のものに切り替える前提で認めます。

3そのサービスに置く情報によっては、情シスの確認を先に通す

料金が安いサービスでも、顧客の名簿や社員の個人情報を置くなら、確認する項目は増えます。IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」では、取り扱う情報の重要度、管理する担当者を決めること、使える人の範囲が、確認する項目に挙げられています。利用が終わったときのデータの扱いと、データが保存される国も、同じ一覧に入っています。

申請の様式に「そのサービスに置く情報」の欄を作っておくと、情シスの確認が要るかどうかを担当者が判断できます。社内の資料を読み込ませるAIのサービスは、入れた内容が学習に使われるかどうかで扱いが変わるので、設定の画面と利用規約の記載まで見てもらいます。

4支払い方法と自動更新を、申し込む前に決める

月額のサービスは、解約するまで毎月引き落とされます。申請の時点で、いつまで使うのか、誰が更新を見るのかを決めておきます。使う人が1人だけのサービスは、その人が異動したときに支払いが続きやすいので、契約した部署と担当者を記録します。

領収書は郵送されず、サービスの画面からダウンロードする形がほとんどです。クラウドサービスから受け取った請求書や領収書のデータは電子取引に当たるので、印刷して紙で保管するのではなく、データのまま保存してもらいます。紙に印刷したものだけを提出させると、保存方法が要件を満たしません。

5年払いと海外のサービスは、経理の処理が変わる

年払いを選ぶと1回の金額は下がりますが、払った時点ではまだ受けていない分が含まれます。1年以内に提供を受ける分の前払費用は、その金額を継続して支払った事業年度の損金にしているときは、支払った時点で損金にできます(国税庁 No.5380)。この扱いを使っていない会社では期間で分けるので、年払いにしてよいかは経理の判断を挟みます。

海外の会社のサービスでも、インターネットを通じて国内の事業者が受けるものは、国内取引として消費税の対象になります。そのうち広告の配信のように、受ける相手が通常は事業者に限られるものは、受け取った国内の会社が「特定課税仕入れ」として申告します(リバースチャージ方式)。ただし一般課税で、その課税期間の課税売上割合が95パーセント以上の場合などは、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます。ドル建ての請求書が出てきたら、社員に判断させず経理で引き取ります。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • ネットのサービスを契約するときの申請方法と、承認する人
  • 情シスの確認が要る金額や、置く情報の範囲
  • 支払い方法(会社のカード、請求書払い、立替を認めるか)
  • 年払いを認めるか、認める場合の上限額
  • 契約したサービスの一覧をどこで管理するか
  • 使う人が異動や退職するときの、解約と引き継ぎの手順
  • 月額のサービスを計上する勘定科目

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 仕事で使うネットのサービスを、会社のお金で契約したいときはどうすればいいですか?

A. 申し込む前に【申請方法】から申請してください。申請には、サービス名、使う目的、料金と支払いの周期、そのサービスに置く情報(顧客の情報や社内の資料を入れるかどうか)を書いてください。

顧客の情報や社員の個人情報を置く場合は、【情シスの窓口】の確認が必要です。承認の前に申し込まないでください。

契約は会社のメールアドレスで行い、支払いは【支払い方法】にしてください。自分のメールアドレスやカードで契約すると、異動や退職のときに引き継げません。

領収書はサービスの画面からダウンロードして、【保存先】にデータのまま保存してください。印刷した紙だけを出すことはできません。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 料金の安さだけで判断し、顧客の情報を置くサービスを情シスの確認なしで通してしまう
  • 社員の個人名義のまま契約が続き、その人の退職時に解約もデータの取り出しもできなくなる
  • 海外のサービスの請求書を社員に処理させ、消費税の扱いを誤ったまま計上する

出典

2026年10月13日時点で内容を確認しています。