在宅勤務で社内のシステムに入れないと言われたら

社員からはこう聞かれます
- 今日は在宅なんですが、社内のシステムに入れません
- VPNにつなごうとすると、エラーが出ます
- 家からだと共有フォルダが見えないんですけど
ひと言でいうと
まず、会社と関係のないWebサイトが開けるかを確かめてください。開けるならVPNの接続かログインの問題なので、表示されたエラーの画面を送ってもらえれば、原因を切り分けます。
在宅勤務の日に社内のシステムに入れないと、その日の仕事が止まります。原因は、自宅のネットワーク、社外から社内に入る仕組み(VPNなど)、ログインの認証、社内システム側の障害に分けて考えます。この順に確かめていくと、電話やチャットのやりとりだけで直せる相談も少なくありません。
- 1社員関係のないサイトが開けるか確認する
- 2社員接続ソフトを終了し起動し直す
- 3社員パソコンを再起動する
- 4社員エラー画面を撮影して連絡する
- 5情シスパスワードや機器の状態を確認する
答えるときに押さえること
1インターネット自体につながっているかを最初に確かめます
社員に、会社と関係のない普通のWebサイトを開いてもらいます。開けなければ、自宅のWi-Fiや回線の問題です。ルーターの電源を入れ直す、会社が認めていればスマホのテザリングで試す、といった手順に移ります。
開けるけれど遅い、という場合は自宅の回線が混んでいるだけのこともあります。家族が動画を見ている時間帯だけつながりにくいなら、ルーターの近くに移る、有線でつなぐ、といった方法を案内します。
普通のサイトは開けるのに社内のシステムだけ入れない場合は、社外から社内に入る仕組みかログインの問題です。ここからはエラーの画面が手がかりになるので、画面の写真かスクリーンショットを送ってもらいます。
同じ時間帯に何人かから同じ相談が来ていれば、個人の環境ではなく、VPNの機器や社内システム側の障害を疑います。
2会社の接続方法によって、確かめる場所が変わります
社外から社内のシステムに入る方法は会社によって違います。総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、方式を7種類に分けて解説しています。社内の問い合わせでよく出てくるのは次の3つです。
・パソコンに入れた接続ソフトで、社内のネットワークにつなぐ(VPN) ・会社にあるパソコンの画面を、自宅から操作する(リモートデスクトップ) ・Microsoft 365 や Google Workspace などのクラウドサービスに、直接ログインする
VPNなら、接続ソフトが「接続済み」になっているかを見てもらいます。つながらなければソフトを終了して起動し直し、それでもだめならパソコンを再起動します。リモートデスクトップなら、接続先の会社のパソコンの電源が切れていないか、スリープになっていないかを確かめます。
クラウドサービスだけで仕事をしている会社なら、VPNは要りません。社員が古い手順書を見て、今は使っていない接続ソフトを探していることもあります。
3ログインで止まる場合は、パスワードと多要素認証を疑います
「認証に失敗しました」と出る場合は、入力ミスか、パスワードを変えた後に古いパスワードを入れている可能性があります。会社によっては、パソコンのログインとVPNで別のパスワードを使っています。パソコンの時計が大きくずれていて、認証に失敗することもあります。
スマホの認証アプリに確認の通知が届かない、機種変更して認証アプリが使えない、という場合は、認証方法の登録をやり直す必要があり、管理者の作業です。
逆に、身に覚えのない承認の通知が何度も届いているなら、誰かがその社員のパスワードで入ろうとしているおそれがあります。承認しないよう伝え、パスワードの変更と管理者への報告を進めます。
4機器の障害や設定の変更は、管理者か保守業者に回します
何人も同時につながらない、VPNの機器にエラーが出ている、という場合は、管理者か機器の保守業者に連絡します。
パスワードの変更、多要素認証の登録し直し、VPNのアカウントの発行も管理者の作業です。担当者に権限がなければ、社員から聞き取った内容をまとめて渡します。氏名、使っている端末、エラーの画面、起きた時刻がそろっていれば、管理者はすぐ作業に入れます。復旧を待つ間、クラウドのメールやチャットだけで進められる仕事がないかは、社員に上長と相談してもらいます。
VPNの機器は、ソフトウェアの更新を放置すると攻撃の入口になります。総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、2020年に起きた事例を紹介しています。既知の脆弱性を放置したVPN機器が攻撃を受け、日本でも40社近くが不正アクセスを受けたというものです。「つながらない」という相談の件数と内容を記録しておくと、機器の更新や障害に早く気づく材料になります。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 社外から社内のシステムに入る方法(VPN、リモートデスクトップ、クラウドサービスなど)と、接続ソフトの名前
- VPNのIDやパスワードが、パソコンのログインやメールと同じか別か
- VPNの機器やリモートアクセスの仕組みの保守業者
- 在宅勤務で私物のパソコンやスマホのテザリングを使ってよいか
- 接続手順書の置き場所と、最後に更新した日
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 在宅勤務で社内のシステムに入れないときは、どうすればいいですか?
A. 次の順番で確かめてください。
1. 会社と関係のないWebサイトが開けるか確認する(開けなければ、自宅のWi-Fiルーターの電源を入れ直してください)
2. 【接続ソフト名】が「接続済み」になっているか確認する(なっていなければ、終了してから起動し直してください)
3. パソコンを再起動する
それでも入れない場合は、表示されたエラーの画面を撮影して【情シス窓口の連絡先】に送ってください。
スマホに身に覚えのない承認の通知が届いた場合は、承認せずにすぐ連絡してください。
接続の手順は【手順書の場所】にあります。
続けて聞かれやすいこと
VPNにつないだら、ネットがすごく遅くなりました
VPNでは通信がいったん会社を通るので、Web会議や大きなファイルのやりとりが遅くなることがあります。社内のシステムを使わないときにVPNを切ってよいかは、会社の設定とルールに合わせて答えます。
カフェから接続してもいいですか?
公衆Wi-Fiを仕事に使ってよいかは、会社のルールで決まります。IPA は、公衆Wi-Fiではパソコンのファイル共有機能をオフにし、必要に応じて信頼できるVPNサービスを使うよう勧めています。
家のプリンターで会社の資料を印刷してもいいですか?
自宅での印刷を認めるか、印刷した紙をどう処分するかは、会社のルールで決まります。認めていない場合は、出社した日に会社で印刷してもらいます。
答えるときに間違えやすいこと
- インターネット自体につながっているかを確かめずに、VPNの設定を調べ始める
- 何人かから同時に来た相談に1件ずつ対応し、VPNの機器や社内システムの障害に気づくのが遅れる
- 身に覚えのない承認の通知を「誤作動」と片付け、不正ログインの試みを見逃す
- 古い手順書が残っていて、今は使っていない接続ソフトを案内してしまう