マイナンバーを会社に出さないといけないか聞かれたら

社員からはこう聞かれます
- マイナンバーって、会社に出さないとだめなんですか?
- 何に使われるのか分からないので、出したくないんですが
- 入社のときに提出したはずなのに、また書かされるのはなぜですか?
ひと言でいうと
社会保障と税の手続書類にマイナンバーを記載することは法令で定められた会社の義務で、会社は番号法に基づいて社員に提供を求められます。提供しなかった社員への罰則はありませんが、会社は提供を求めた経過を記録して保存します。社内での提出先と提出のしかたは【マイナンバーの提出窓口】で案内しています。
マイナンバーを出したがらない社員は、番号そのものを隠したいわけではなく、どこまで使われるのか分からないことを心配しています。会社が何の書類に書くために集めているのかを先に伝えると、断られる場面がぐっと減ります。断られたときに会社がすることも決まっているので、担当者が板挟みにならずに済みます。
- はい番号確認の書類を出せないという理由か
- はい個人番号に相違ない旨の申立書で番号確認する
- いいえ求めた経過を記録して保存し、番号欄が空欄のまま提出する
- はい
- いいえ税と社会保険の手続きに使うことと、会社の義務であることを伝えて求める
出典:国税庁「法定調書に関するFAQ」
答えるときに押さえること
1マイナンバーの記載は会社の義務で、会社は法律に基づいて提供を求められます
社会保障と税の手続書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた会社の義務です。番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)14条1項は、事務の処理に必要があるときに本人へ個人番号の提供を求められると定めています。厚生労働省も社員向けに、法律に基づく正当なマイナンバーの提供の求めがあった場合には、これに応じてほしいと案内しています。
記載が必要な書類は、税の側では源泉徴収票と支払調書、社会保障の側では雇用保険と健康保険・厚生年金保険の資格取得届・喪失届などです。雇用保険の届出は、会社が番号法と雇用保険法に基づいて行うことが義務づけられています。日本年金機構も、マイナンバー記入欄がある届書は原則として記入して提出するよう求めています。
最初に伝えるのは、会社が独自の判断で集めているのではなく、提出先の書類に欄があるからだという点です。
2出したくないと言われたら、求めた経過を記録して保存します
国税庁は、マイナンバーの提供を受けられない場合でも、安易に空欄のまま法定調書等を税務署等に提出することはせず、記載が法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝えて提供を求めるよう案内しています。それでもなお提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておくこととされています(法定調書に関するFAQ Q1-2)。
この記録と保存は、法令上の義務ではありません。いつ提供を求め、その結果として提供を受けられなかったという事実をあとから明らかにできればよく、個別の事情までは記録する必要はないと注記されています。求めた日付と相手の名前、提供されなかった事実を1行残せば足ります。
書類は番号欄が空欄でも受け付けられます。税務署等は、申告書等にマイナンバーの記載がない場合でも受理することとしており、記載がない場合や誤りがある場合の罰則規定は税法上設けられていません(番号制度概要に関するFAQ Q2-3-2、Q2-3-3)。雇用保険でも、提供を受けることが困難な場合は記載がない届出書を受理するとされています。
3提供しないことを理由に、賃金や雇用の扱いを変えてはいけません
厚生労働省は、マイナンバーを提供しないことを理由とする賃金不払い等の不利益な取扱いや解雇等は、労働関係法令に違反または民事上無効となる可能性があると案内しています。「出さないと給与を止める」という伝え方はしないでください。
断る社員の多くは、提供そのものより使われ方を気にしています。マイナンバーは番号法が定める事務以外には使えません。個人情報保護委員会のガイドライン(事業者編)は、本人の同意があったとしても利用目的を超えて特定個人情報を利用してはならないとし、社員の管理のために個人番号を社員番号として利用してはならないとしています。
集めるときは、利用目的(税と社会保険の手続きで使うこと)を本人に通知するか公表します。保管についても、漏えいや滅失を防ぐための安全管理措置が会社に義務づけられています。事務を処理する必要がなくなり、所管法令で定める保存期間を過ぎたときは、できるだけ速やかに廃棄または削除します。
4受け取るときは、番号確認と身元確認の2つをします
番号法16条は、本人からマイナンバーの提供を受けるときに本人確認の措置をとることを会社に義務づけています。確かめるのは、記載された番号が正しい番号であることの確認(番号確認)と、提供する人がその番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)の2つです。
マイナンバーカードの提示を受ければ、1枚で両方を兼ねます。カードがない場合は、マイナンバーが記載された住民票の写し(番号確認)と運転免許証(身元確認)のように組み合わせます。通知カードは2020年5月25日に廃止されましたが、記載された氏名や住所が住民票の記載と一致している場合に限り、番号確認の書類として使えます。
身元確認は省ける場合があります。国税庁は、雇用契約成立時等に本人であることの確認を行っており、対面で本人に相違ないことが明らかと判断できる場合には、身元確認のための書類の提示は必要ないとしています。ただし、この場合でも番号確認は行う必要があります。番号確認の書類をどうしても出せないときは、国税分野に限り、本人から自身の個人番号に相違ない旨の申立書の提出を受けて番号確認とすることができます(本人確認に関するFAQ Q2-8)。
扶養控除等申告書に書く配偶者や扶養親族のマイナンバーについては、会社ではなく社員本人が本人確認を行います。家族を扶養に入れたいと言われたらの手続きとあわせて案内します。
5求めてよい時期と、まだ求められない時期があります
厚生労働省は、マイナンバーの提供を求める時期について、社会保障と税に関する手続書類の作成事務が発生した時点を原則としています。契約を締結した時点など、事務の発生が予想できた時点で求めることも可能と解されており、源泉徴収票の作成事務であれば、雇用契約の締結時点で求められます。
一方で、雇用契約を締結する前(採用面接時等)に、採用選考の対象者へマイナンバーの提供を求めることはできません。内定者は立場や状況が個々に異なるため一律には扱えませんが、正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書を提出した場合など、確実に雇用されることが予想される場合には求められると解されています。
入社のときに出したのにまた書かされると言われることもあります。扶養控除等申告書については、社員本人と控除対象の配偶者・扶養親族の氏名、住所、マイナンバーを記載した帳簿を会社が備えている場合、その帳簿に載っている人のマイナンバーの記載は要しないこととされています(源泉所得税関係に関するFAQ Q1-3-2)。この帳簿は、最初にマイナンバーを記載した税務関係書類の提出を受けて作ることが前提です。年末調整の書類の書き方を聞かれたらの案内と同じ場面で説明できます。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- マイナンバーの提出先の窓口と、提出に使う書式やシステム
- 本人確認のやり方(対面で確認するか、本人確認書類の写しを受け取るか)
- 提供を断られたときに、誰がいつ経過を記録し、どこに保存するか
- マイナンバーを保管する場所と、保存期間を過ぎたあとの廃棄の担当
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. マイナンバーを会社に提出する必要はありますか。出さないとどうなりますか。
A. 社会保障と税に関する手続書類へのマイナンバーの記載は、法令で定められた会社の義務です。会社は番号法に基づいて社員のみなさんにマイナンバーの提供を求めています。お出しいただいたマイナンバーは、源泉徴収票や支払調書の作成、雇用保険と健康保険・厚生年金保険の届出といった、法律で定められた手続きにだけ使います。社員番号や社内の名簿の管理には使いません。保存期間を過ぎたものは速やかに廃棄します。提出のしかたは【マイナンバーの提出窓口】にご確認ください。受け取るときは、番号が正しいことの確認と、ご本人であることの確認を行います。マイナンバーカードがあれば1枚で両方を確認できます。ご提出いただけない場合も、提出をお願いした記録を残したうえで番号欄が空欄のまま書類を提出します。ご提出がないことを理由に、給与や雇用の扱いを変えることはありません。
続けて聞かれやすいこと
扶養に入れる家族のマイナンバーも必要ですか?
扶養控除等申告書には、控除対象となる配偶者や扶養親族のマイナンバーも記載します。この家族の本人確認は、会社ではなく社員本人が行います。
詳しくは「家族を扶養に入れたいと言われたら」をご覧ください。
毎年、年末調整のたびに書かないといけませんか?
社員と家族の氏名・住所・マイナンバーを記載した帳簿を会社が備えている場合は、扶養控除等申告書への記載を要しません。帳簿を作るには、最初に番号を記載した書類の提出が必要です。
詳しくは「年末調整の書類の書き方を聞かれたら」をご覧ください。
退職したら、会社に出したマイナンバーはどうなりますか?
退職後も法令で定める保存期間のあいだは手続きのために保管し、期間を過ぎたらできるだけ速やかに廃棄または削除します。
詳しくは「退職するときに会社へ返すものを聞かれたら」をご覧ください。
答えるときに間違えやすいこと
- 断られてもすぐ空欄で出さず、法令で定められた義務であることを伝えてもう一度求めます
- 提供しないことを理由に賃金を払わない、雇用を続けないという伝え方はしません
- 社員番号や社内の名簿の管理番号にマイナンバーを使い回しません
- 身元確認を省けるのは雇用のときに確認済みで対面の場合だけで、番号確認は毎回必要です